俺だけヘルモードな件~鬼畜難易度ですがその代わり確定レアドロップで最強です。病気の妹を治すために裏庭のダンジョンに潜りポーションを手に入れたい。借金一億あるけど現代のゴールドラッシュなので余裕で返す
第67ー68話探索者はお金がかかる5-6 作刀依頼1-2
武器と防具を新調しよう1-5
第67ー68話探索者はお金がかかる5-6 作刀依頼1-2
「良い鍛冶師を紹介してあげる」と立花さんに言われ、新幹線と電車を乗り継ぐ事数時間、俺はもうグロッキーになっていた。
「頭のネジが外れている割にはセンサイな子ね」
「生まれてこの方、何もする事無く座っているのが苦痛なんですよ!」
俺は抗議の声を上げて二人分の荷物を座席の上から降ろし、電車から降りる。
さらにそこから駅のロータリーに居たタクシーを捕まえ、揺られること1時間、ようやく目的地にたどり付いた。
「到着しました。料金のお支払いはどうされますか?」
「はい。あっ、すみません。QR決済で良いですか?」
そう言って俺はスマホを取り出した。
「大丈夫ですよ。ご利用ありがとうございました」
送金完了の音が鳴り、タクシーを降りた。
工房を見ると、中から鉄を打つリズミカルな音が聞こえてくるので、ここが目的の工房なのだろう。
「立花さんのお知り合いとの事ですが……その方に打って頂けるんですか?」
「馬鹿言いなさいよ。彼が作刀したら一体幾らになる事やら……」
「そんなに高価なんですか?」
「刀剣の人間国宝は過去に六人。すでに全員が鬼籍に入られているわ。彼は現在の最高位である『無鑑査刀匠』の有力候補者よ。
1年に1度開催される『現代刀職展』でも賞を取っているから、コータローが依頼できるような相手じゃないの。」
調べて見ると、この60年で『無鑑査刀匠』になった人物は39人と非常に稀で、めっちゃ狭き門らしい。
『現代刀職展』で入賞15回(内特賞が10回)で、人格の高潔さも必要っと…ってことは最低でも15年以上、刀匠として研鑽しないといけない訳か、凄まじい世界だな。
「これから紹介するのは中学時代の友人よ、変人だけど良い奴だから……」
と不穏な事を言う。
「そんな心配そうな顔しないでよ……腕は確かだから……」
どうやら顔に出ていたようだ。
俺のポーカーフェイスもまだまだだな……
何人もの鍛冶師が鉄火場で、金床に置かれた赤黒い金属に向けて槌を振う金属音が木霊している。
「確かにコレでは……都会に拠を置くのは厳しそうですね」
「でしょ?」
と談笑しながら歩いていると、頭にタオルを巻いた和装の青年が歩いて来た。
「立花さん。九条さんがお待ちです」
「案内してくれる?」
立花さんは慣れた様子で、自分よりも年上の男性に案内をさせる。
この人の剛毅さは見習わないといけないな……
暫く歩くと事務所のような場所に通された。
「ご苦労様です」
白いワンピース姿の和風美人と言った風体の女性が出迎えてくれた。
和風美人がそう言うと、男性は「失礼いたしました。」と言ってこの場を後にした。
「
「違うわよ。師匠の弟子で私が面倒を見ているだけよ……」
女性は俺の存在を無視していた事に気負が付くと謝罪した。
「失礼いたしました。お話は銀雪から伺っています。
私は九条胡蝶。刀匠……鍛冶師としての名前は
由来は鍛冶師は英語でブラックスミスと申しますでしょう? それに胡蝶とも呼ばれる『濃姫』にあやかり、名付けました」
「なるほど……」
どうやら彼女は俺と同じタイプの人間のようだ。
「コイツは昔から凝り性で、好きな事にしか努力出来ないバカなのよ……そのくせ要領はいいからいつも満点だったもの……」
――――と昔の愚痴をポロリと漏らした。
「銀雪は戯れに指導をする事はあっても今まで“弟子”は取って来ませんでした。そんな銀雪の紹介です。寄り一層気合を込めて作刀しましょう! 早速ですが身長と体重、腕の長さと筋力を計らせて頂いてもよろしいですか?」
俺が疑問符を頭上に浮かべているのを察してか、胡蝶さんが説明してくれた。
「腕の長さは、刀の刀身の長さに影響します――――」
そう言うとタブレットを取り出して、画像付きで解説してくれる。
「分かりやすく言えば、ゲームなんかで“太刀”と言う名称で出て来るのは『大太刀』や『野太刀』と言って三尺……90㎝以上の長さがあり、寺社仏閣へ奉納される祭具やご神体であったと言われていますが……上級の武士が馬上の戦で使っていたとも言われています。まぁ馬と言ってもポニーサイズですが」
画像が切り替わり馬に乗った武将にイメージ画像が切り替わる。
馬の背中までの高さが133~136と表示され、武士のイラストには159㎝と書かれ、騎乗しても2Ⅿ程度の身長と表示されている。
確かにこれなら90㎝以上の刀を使っても問題ないだろう。
「『七支刀』をイメージして頂ければ、わかりやすいでしょうか?」と付け加えた。そして画像は、鹿の角のように枝別れたした剣が表示される。
「鎌倉中期から作られたのが『小太刀』と呼ばれる太刀で、長さは二尺……60㎝程の長さで、儀式や祝いの場で用いるのがほとんどです。よく『脇差』と間違えられる刀です。
ここまでが現代の式典でのサーベルような扱いの刀たちです。
「大河ドラマや映画では剣で戦っていますけど」
俺は当然の疑問を口にした。
「フィクションです。
『槍働き』と言う言葉があり、西洋や中近東の戦場では、密集陣形と長槍を組み合わせたスタイルが長年覇権を握っていた事から見ても、刀剣はサブウエポンです。
戦国や幕末で使われていた刀の事を『打刀』と言います。大体60㎝後半から70㎝程の長さですね。
『打刀』や『小太刀』は幕末の世に再び花開く事になります。新選組や
中には長巻……柄の長い薙刀と大太刀の中間進化見たいな剣を短く治した剣もありますよ。」
「『脇差』は30~60㎝ほどの刀剣で、『大脇差』、『中脇差』、『小脇差』と分けられていて、『大脇差』が60~54㎝。『中脇差』が54~40㎝。『小脇差』40㎝未満の長さと決められていて、武士・侍でイメージされる『二本差し』は『打刀』と『脇差』の『大小二本差し』を指しています。
農民は『脇差』までしか帯刀できなかったので、当時は身分の目安でした。
また『短刀』や『腰刀』『懐剣』『
「――――と言う訳で腕の長さや体格によって合う刀は違うと言う訳です。刀身と腕の長さが殆ど同じモノを選ぶのは初心者以外にはお勧めできないんです。
現在ご使用中のオニキリは刀身が、70㎝と『打刀』や『小太刀』と比べると少し長めです。これは大日本帝国時代の『九五式軍刀』が約70㎝であったのでそれを参考にしています。が竹刀と比べると中学生用の114cmを下回っています」
「まぁ大人用でも120㎝なんですが……」と付け加えた。
「ですので、180㎝代と言う恵まれた身長を活かして『太刀』を持つ事をオススメします!」
ここまで長々と刀剣について語る、刀オタクの言う事だ。
先ず間違いはないだろうが……
「立花さんはどう思いますか?」
「ん~」少し思い出すような考えるような仕草をすると、こう言った。
「ウチのリーダーは刀使いで有名だけど、『太刀』を使っているわね。どうせ暇してるコイツの事よ二振り頼んでも作刀時間は変わらないわよね?」
「そう言われも、文科省には二週間以上かけて刀を打てと言われているからね……」
「面倒だからって作刀制限の頃の話をしてお茶を濁そうとしない。今は制限ないんだからバシバシ打ちなさいよ!」
「昔は太刀・刀・薙刀等は15日以上、脇差・短刀等は10日以上って決められてたからサボれると思ったのに……」
「オススメの『太刀』一振りと『小太刀』一振り、――――「それに『腰刀』を一振りお願いできるかしら」」
立花さんが割って入る。
「銀雪には本当に鬼か? 悪魔か? と言いたくなるわ……更に仕事を入れるなんて……それにまだこの子は高校生でしょ? 幾ら稼いでいるとは言え『太刀』と『小太刀』で500万くらいはするんだけど? それにプラスで『腰刀』? 60万ぐらいはするけど支払いできるのかな?」
確かに常識で考えると500万払える高校生と言うのは異常だ。
俺の場合は全てはスキルのせいなんだけど……
「コータローは、今JSUSAに鑑定中だけど結構お金持ってるわよ? それに『腰刀』はアタシからコータローへのプレゼントよ。コータロー不幸で幸運だから色々と心配なのよ……」
「全く君は意味の分からない事を……まぁいいや前金は要らないよ。払えなければ他へ売る事にします。私の刀への評価は高いですから……」
「払えるわよ。多分……」
「師匠だったら言い切ってあげなさいな……」
と呆れ気味だ。
「《魔法》が付与された武器とか拾ってるので今でも、3,400万ぐらいはあるので払えると思います。それに大物も倒したので……」
良かったぁおじいちゃんへの借金150万の返済しなくて……今までの出費はバイト代で事足りる範囲だったし、冒険で手に入れたお金は手つかずで残っている。
口座を見ていないけど、3,400万はあるハズだ。足りなければ最悪、探索者向けの低金利の借金があるのでそれを使おう。
「大物って?」
「イレギュラーよ」
「イレギュラーを倒せる腕前なら、手堅く稼いでもらえれば大丈夫そうだね。もしきつければ支払いは待てるよ? こう見えて私、道楽で刀鍛冶をやっている旧家の令嬢ですので……」
「勘当気味でしょ?」
「高認取って関関同立レベルなら全部一発で受かったのに……酷いと思わない?」
その頭脳を無駄にして、趣味に走っている姿を見ると親御さんが可愛そうだよ……
「「……」」
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