大会六回戦1-5
第128話大会六回戦1
『さぁ、第六回が始まって参りました。先ずは選手の入場です!』
この会場の司会でを務める。羽鳥アナウンサーの号令を合図に、入場ゲート前に待機する。
『先ずは青コーナーの入場です!』
手を振り下ろす合図をスタッフさんが出すと、発泡スチロール製のドアが開き幾つものスポットライトが俺に集中し、プシュプシュと音を立てて、白煙を上げる噴霧機が選手の入場を賑やかす。
白熱電球のライトの熱を伴った光線によりただでさせ、蒸し暑い試合会場の温度は物理的に上昇するように感じる。
が、先ほどまでと明確に異なる部分があった。それは俺の入場と同時に照らされた照明の色である。黄色が基本の色合いであり、それはどう考えても【
確かに第二回戦で戦った。新見選手の照明の色は赤色がベースになっていた。
そんな事を考えながら通路を歩いていく……
『探索者歴は驚異の一カ月未満! だがその実力はホンモノだ! 高探索者歴選手を見事な太刀捌きで下した姿、正にジャイアントキリング 高校一年生! 加藤光太郎』
どうやら俺の渾名はジャイアントキリングになったようだ。
『対する赤コーナーは、動かざる事山の如く、攻勢に打って出れば烈火の如き攻撃を見せた高校一年生 利根川圭吾選手! 情報によると、両選手は同じ高校に通うクラスメート同士! 普段は同じ教室で机を並べて勉強や運動に励む級友の二人ですが、何の因果でしょうか? 今回競い合うのは、テストの結果でもスポーツの腕前でもない! さぁ二人はどんな戦いをみせてくれるのでしょうか?』
まさか第三回戦で利根川と戦う事になるなって……まぁ俺に大会に出るように仕向けてきた一派の一人だ。
大会に出てくるのも不思議ではない。
利根川の装備は、正直に言えば田中選手や新見選手と比べると大分見劣りする。
恐らくは
盾はD級装備な事は知っている。
盾もプロテクターも多くの傷が付いており、苛烈で長い戦い身を投じて来たのだろう。
剣はダメになったなのだろう。デュノア社製両刃直剣ラファールを腰に差している。もう一振りの剣はダメになった一本目だろうか?
『盾で耐えて攻撃する、利根川選手のいぶし銀な戦闘スタイルと、高い攻撃力で相手を捩じ伏せる王道な加藤選手どちらが勝つのか気になりますねぇ!』
――――と解説の杉多もコメントを添える。
審判を務める男性がマイクを持つと、ルールの説明を始める。
『なお、この試合にはゲストととして、日本有数の探索者チームのスリーフッドレーヴェンズのメンバーでもある。
『皆様初めまして、関東を中心にダンジョン攻略をしている、スリーフッドレーヴェンズのメンバーで、現役大学生の立花銀雪です。本当は大学生の部に出たかったんですけど、プロだから出場はダメって言われちゃったので解説役の仕事をもらいました』
「――――っ!!」
俺は驚きの余り漏れ出そうになる声を必死で抑える。
いつものギャルのような喋り方ではなく、キチンとハキハキとした口調で喋る師匠を見ると違和感を覚える。
『立花さんは、後進の育成にも熱心で度々全国を回って有望な若者を指導しているとか、当番組にも立花さんの指導を受けた高校生や大学生が多く出場しています。今回は指導した生徒さんの雄姿をご覧になりに?』
『それもあるんですけど、番組の宣伝を兼ねて来てるんです』
確かに師匠は
彼女の
『番組の宣伝ですか?』
『はい。そうなんです。この度、
内容は、探索者のハウツー動画や視聴者さんの疑問に答えていければなって思ってます。格配信プラットフォーム状での強みを活かした番組にしたいって、プロデューサーさんが言っていたので楽しみにしてください』
やけに番組タイトルに声優ラジオ臭がするんだけど……脚本家か企画を立てた人が声優ラジオ系の人なんだろうか?
『日本でも有数のチーム所属の探索者さんと声優さんが番組をするって全く新しいですね……ダンジョン配信者、ダンチューバーは結構人数がいますけど現役プロが教える動画ってなると海外がメインですから人気出ると思いますよ(笑)』
『そうなんです。
『はい。番宣頂きましたけど……ここからは試合に戻らせて頂きます』
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