第15話 天神様と飲酒年齢

 さて、次に食事についてだが。


 あれだけ動いたと言うのに……私の腹は空腹を感じていない。


 やはり、以前が神であったことと……今回では精霊と言う存在。


 どこかしら、人間とは違う存在だからだろう。


 とは言えど。



「食事付きの宿だから……ご飯は食べなくちゃだよね?」



 受付の人間にだいたいの時間を言われたので……そろそろ行かなくてはならない。



「……我らに、食事は不要では?」


「けど、フリはしなくちゃ。僕らは『人間』なんだから」


『ご……はん、だい……じ?』


「そうだね? 人間にとっては大事だよ?」



 私の神であった名残りとしては……『酒』の方を好むが。


 異世界とやらでの飲酒年齢がどうなっているかもわからない。


 日本だと、今の私の身体では……おそらくダメだからね?


 平安の世では、十五歳程度でも大丈夫だったが。



「……主としては、酒の方が気になられているのでは?」



 顔に出ていたのか、トビトにはバレバレのようだった。



「うん。お酒は美味しいからね?」


『お……さ、け?』


「飲み物だよ。フータは飲めるのかな?」


『……わ……か、な』



 私達とは違い、中級と言う位はあれど……フータが飲酒出来るかはわからないからね?


 とりあえず、半分以上フータのために食堂とやらに向かうことにした。



「はいよ! 二名……と、それは精霊?」


「はい。僕が契約した精霊です」



 恰幅の良い女性が出迎えてくれたが、受付ではいなかったのでフータを見るのは初めて。


 だが、すぐに笑顔になってくれたよ。



「そうかい! うちは日替わりが二品以外だと、つまみのようなメニューが多いけど。坊ちゃん、冒険者だけどいくつ?」


「えっと……十五歳です」



 転生させられたが、元が日本人なのでかなり童顔なのは仕方がない。


 ギルドカードをきちんと見せれば、彼女は納得したかのように頷いた。



「んじゃ、酒は大丈夫だね? そっちの兄さんもいるし、飲めるだけ飲みな?」


「! ありがとうございます!」



 つまり、十五歳くらいなら酒を飲んでも良い年齢なのか。


 これは……嬉しい情報だ。


 女性に空いている席を教えてもらい、食事も一応日替わりのメニューを三つ頼むことにした。フータも興味があるようだったからね?



『……ご、はん……』



 そして、少し経ったあとに……テーブルには様々な食事が並んだ。


 日本風はあいにくとなかったが、西洋風が多い。


 かつて、飼い猫が営んでいる店でも色々食べたりもしたが……ある意味ヒトのような存在となって、食べる食事は久しぶりだ。


 とりあえず……女性が持ってきた、エールと言うビールに似た酒の入ってるグラスを持ち。


 トビトに乾杯の方法を教えてから……私達は食事をすることにしたのだった!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る