第7話
<ジャンドラ>
手元の小説の題名をみて、店主は途方にくれていた。
「冗談に付き合ってやる時間はまだあるが、程々にしろ」と語りかけてくる左目に不気味さを覚えなくなったのはいつからだろう。
慣れとは恐ろしく、徐々に精神を蝕んでいく。
そして、果てには認識できなくなる。
「鴉だろう、お前は」
「父の名前すら、まだおぼろげなことを忘れるな、いずれ、私が望まないにしろお前の記憶を喰い尽くすぞ」と冷たく告げた。
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