閑話 謎の本
むかしむかし、独りで暗い部屋に閉じこもっていたイバラの魔女がいました。
ある日、魔女は独りで寂しくて泣いていると、
トントントンと誰かが魔女の家に訪ねてきました。
お客様が来るのは珍しかったので、急いでドアを開けてあげると、
傷だらけの男の人が倒れていました。
「あらまぁ、いけない」そう思った魔女は薬を作り、何日も看病しました。
その甲斐あって、男の人は傷も残らず元気になりました。
男の人は名前をユウマと言いました。
ユウマは魔女に恩返しをしたいと思って、魔女に願いを聞いてみました。
魔女は「友達になって」と言いました。
そうして、独りぼっちの魔女に友達が出来ました。
月日が経って、二人に子どもが出来ました。
「今日から家族だね」
二人は子どもにマイカと名づけました。
こうして、魔女に家族ができました。
しかし、幸せな日々は終わりを迎えていました。
実は、ユウマはお城の王女様を手にかけた罪で追われていたのです。
今まで魔女に対して優しかった住民も、反逆者を助けたとして、魔女も捕らえようとし始めました。
二人は仕方なく、子どもを連れて住んでいた家から逃げることになりました。
遠く遠く逃げた先には、広い広い島がありました。
島の真ん中に立つとはしからはしまで見えないくらい広い島でした。
その中でも目立ちにくい所に、新しい家を建てることにしました。
ユウマの力によって、家はすぐに完成しました。
二人は快適な家の中で伸び伸びと暮らしながらマイカを育てていました。
それでもやはり、幸せな日々は続きませんでした。
旅をしていた人達が二人を目撃したのです。
家族で家の周りをお散歩していた時、呼ばれて駆けつけた兵隊によってユウマは捕まり、その場で処刑されてしまいました。
そして、子どもを守ろうとした魔女は大きな怪我をしてしまいました。
しかし、必死になって子どもを守ろうとした魔女を見て哀れに思ったのか、イバラの魔女と子どものマイカは助けてもらえました。
大きな怪我を負った魔女はしばらくして元気になりましたが、ユウマを失ったショックで記憶を失っていました。
魔女とユウマの子どものマイカには二人の力が少し使えるようになっていました。
しかし、力の使い方を教えてくれる人がいなかったので、どんどんどんどん力は溜まっていきました。
そんなある日、保護してくれていた人の誘いで入った学校で悲劇が起きました。
………
朝、マイカは友達と一緒に、昨日見たドラマの話をしていました。
すると登校したばかりの男の子がこう叫びました。
「なんで他の人には挨拶するのに俺にはしないんだ!」
「俺はこのクラスでいじめられている!」
その男の子は、いつもは明るく元気なムードメーカーのような存在でしたが、雰囲気は一変していました。
まるで何かに取り憑かれてしまったかのよう。
怒りに狂った彼のかばんの中から取り出されたのは包丁でした。
学級委員でもあったマイカはこの時男の子から一番近いところにいました。
ですから、男の子を落ち着かせようと試みます。
「まずは落ち着こう?それじゃあ話の解決にはならないよ?」
しかし、男の子は落ち着かず、逆に興奮していました。
興奮が頂点に達したのか、包丁を振り上げ、なにかよくわからない言葉を発すると、
目の前に居たマイカに斬りかかりました。
クラスに悲鳴が響き渡ります。
何度も何度も斬りつけた男の子の体と周りには赤い湖ができていました。
マイカはピクリとも動かず、ぐったりとしています。
ですが、この時マイカのあの力が暴発し始めていました。
この異変に気づいた男の子は悶絶し始めました。
彼の皮膚がマイカの血によって溶かされていたのです。
男の子は必死に全身にかかったマイカの血を振り払おうとしますが、どうしてもまとわりついてきて取り払うことができません。
男の子はとうとう痛みに耐えかねて気絶してしまいました。
駆けつけた先生と病院の治療の甲斐あって二人とも元通りに回復しました。
しかし、どちらも心に負った傷は大きく簡単には治らないようです。
マイカは学校へは行かず、お家に引きこもるようになりました。
1年後。
少しお外に出ることも多くなったマイカでしたが、相変わらず学校には行っていませんでした。
そんな平凡なある日。
マイカに突然お客さんがやって来ました。
その人はマイカと同じような力を持った人たちが集まるところへ連れて行ってくれるようです。
好奇心に駆られたマイカはその人について、閉じこもっていたお家をあとにしました。
この後の御話は彼女の周りで起きること
物語は時を刻みだしたばかりです
一体どんな悲g...喜劇が待ち受けているのでしょう♪
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