昔噺

閑話 誰も知らない昔噺

体内に響き渡る痛み


毎日毎日そんなんだ


人体実験に付き合う日々


僕の体質を利用して


一体何をしようというのか



目の前には同じ景色


変わるとしたら研究者の顔と隣人


昨日は笑顔に接してくれていたのに


次の日には死んだという



心も身体も切り刻まれて


しょうもない現在を過ごし


僕は一体?


なんてそんなことを考えても...



いっそ壊れてしまえよ


こんなセカイは





体質が異質過ぎて


目をつけられたのが最後


研究者の玩具だ


抗体血清耐久お試し人間


なんでもござれの実験用人間


僕の人権は?


そんなこと唱えても


それでも斬られ続ける



いっそ消してしまおうか


こんなセカイは


自分だけになって


閉じこもって


何も見ないふりをして





誰も気づかない深い深い地下の中で今日も捌かれる


痛い記憶の中で僕は壊れてしまった


何も感じることが出来ない


考えるのを放棄した成れの果て


慢性化した生活の中で今日も





いっそ逃げてしまおう


こんな場所から


そう言って手を伸ばす貴方は一体?


捨てた感情が流入して


思考で頭が埋まる



「逃げ出せ」



本能が背中を蹴りだす


壊れた心は破壊の衝動に耐えられない


いつの間にか僕の顔には下卑た笑顔が貼り付いていた



いっそ壊してしまおう


こんなセカイ



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