第8話 みかんと電話で①
恋だとか愛だとかの違いをネットで調べるためにスマホで検索してみる。
検索結果の上位にあったものを適当に見てみると……
『自分がどうしたいか、どう思うかから来る感情は恋。例えば、相手を見ていてドキドキするだとか、手を繋ぎたいとかがそれに当たる。一方で、相手が基準になるとそれは愛。例えば、相手が喜んでいるだけで幸せに感じたりするようになる』
なるほど?
確かにいちごちゃんに対してはドキドキしちゃうし、手を繋ぎたいなーとも思う。
だからこれは恋なのかもしれない。
そうなのか……。やっぱりこれが恋ってやつなのか……。
じゃあ葡萄とみかんちゃんに対しては?
別にドキドキするわけじゃないし、葡萄に関しては既に手を繋いでるし。
だから自分からこうしたい、みたいなのは多分無いと思う。……いやどうだろう。葡萄と手を繋いでいたいって気持ちは、自分からそうしたいのうちに入るのかもしれない……。
でも、一緒にいて幸せというか嬉しいと思うことはあるから愛があったりするのだろうか?
まだよくわかんないから続きを読む。
『恋だと気持ちが不安定になるけど、愛だとそうはならない。例えば、好きな人の反応で気持ちがポジティブになったりネガティブになったりする』
うん、確かに。全くもってその通りですね……。
まあこれは異論無いから次へ。
『恋だと好きと言う感情を伝えたいとなるが、愛だと他のネガティブな感情も分かち合いたいと思う。例えば、愛を持っていると、相手に辛いことがあった時に自分を投げ出してでも守りたいと思う。場合によっては相手のために放っておくことすらできる』
なるほど?
私の場合はどうなんだろう?
辛いことがあったら悩みを聞いてあげたいし、3人に対してなら自分を投げ出してでも守りたいと思うんじゃないかな……。うーん、でもこれは建前的な考え方な気もする……。ちょっと綺麗事な感じがするし。もっと具体的に考えてみよう。
まず辛いことってなんだろう……。いじめとか?
正直私たち4人グループでいる限りそういう構図にはならなさそう。
仮に誰かがいじめられてもみんなが庇うだろうし。
うーん、そもそも私自身それほど辛い目に遭ったことがない気がする。
やっぱりよくわかんないや。次行こっと。
『自分から求める行動、自分のことを知ってほしい、好きになってほしいといったことは恋から来ていて、相手が喜ぶからこうしよう、というのは愛』
へー。
いちごちゃんには恋してて、葡萄やみかんちゃんに対してはなんだろ。愛してるって言ったらものすごく語弊がある気がする……。
でも葡萄やみかんちゃんの笑顔を見れたら幸せな気持ちになれるから、やっぱりそういう点では相手が喜ぶからこうしようって考えることはあると思うんだけどなぁ。それって思いやりってことと一緒な気もするけど。
うーん、やっぱりわかんないことだらけだ。
次が最後かな。
『恋は次第に愛に変わるもの』
そうなの?
別に最初から愛があってもいいような気がするけども……。
そんなふうに恋と愛の違いを調べていたところ、みかんちゃんからのメッセージ通知がやってきた。
『今日の夜、電話してもええ?』
みかんちゃんとは最近になって夜に電話するようになった。
中学に入ってから初めていちごちゃんやみかんちゃんと出会った頃は、グループチャットでみんなでワイワイお話してたんだけど、いつからかみかんちゃんが個人チャットでも私とお話したがるようになった。
別にグループチャットで話してもいいんじゃないかなって思ってたんだけど、ある日、「電話してもいい?」って聞かれた時にどうしてか気付いた。
きっと私ともっと仲良くなりたいんだろうなーって。それは何故かはよくわかんないけど。確かにみかんちゃんとのお喋りは楽しいから、もしかしたら波長か何かが合うのかもしれない。
何はともあれ、お返事返さなきゃ。
『いいよー。いつもみたいに22時からでいい?』
すぐに既読が付いて返信が来る。
『うん! 楽しみにしてるわ!』
というわけでみかんちゃんとの予定が決まる。
楽しみだなー。
予定決まったし、さっきの続きちょっとだけ考えてみよっと。
結局わかったのは私がいちごちゃんに恋しているってことだけで、愛についてはなんだかよくわからずじまいだった。愛ってなんなんだろう?
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