第37話

「藤原くん」


帰ろうとしてたら、翼さんに待ち伏せされていた。沖縄から帰って、話もしてない。


「お疲れ様です…」


「沖縄では使えなかったってことだろうか?」


「…い、いえ…スカウトの仕事をしてほしいと」


「あの社長はなにもわかってない。沖縄には準也しかいない。仕事が停滞するのは目に見えているよ」


「あ、あの…足助さんがカメラマンやるんです」


すると翼さんから恐ろしいオーラが。


「素人を使うなんてどうかしてる。そもそも親戚らしいから。藤原くん、あの社長は本当に使えない。下津さんもついていけなくて辞めたからね」


え…


「え!?聞いてません!」


「彼女を面接した翌日の話だ。困った社長だ。早く辞めさせたほうがいいだろう」


いや、でも…急に辞められたら困るのは会社だ。辞めていいと許可するはずない。そんなの、わかならないはずはない。


「しかし、社長と準也さんはしっかり話をして納得されてましたが…」


「準也はなにもわからない」


「いやしかし」


「藤原くんは、あの社長に何も言われなかったと?」


「いや…」


いろいろと言われてしまったが、自分が悪い。


「署名でも集めようかと考えてるよ。元社長に直接渡せば簡単な話だ」


翼さん…本気なのか?

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