第38話

外に出ると、見たことない方がたくさんいた。たぶん事務で新しく働くことになった人たちだ。


「お疲れ様です」


「あ、お疲れ様です…あの…事務員さんですよね?」


「はい」


「社長と話をしましたか?あ、面接終わりました?」


「入社する前でしょうか?」


あー、そうか。既にいる人だけ面接したのか。


「いや、気にしないで下さい。社長の印象を聞きたくて…」


「社長は、それぞれをよく見てくれてます」

「仕事に対して熱心です」


そ、うなんだ…


「沖縄にいたので、よくわからなくてですね…カメラマンさんたちと仲違いしているようですが…」


「そのようですね…おそらく昔の考えに固執されてるので衝突があるみたいで」


なるほど…古株との。


「毎日楽しく仕事をしてほしいと社長はおっしゃってて。皆さんにもそうなってほしいからこそ、社長は努力されてるんだと思います」


努力…


「藤原さんのことを、スタッフの方々が戻って来てくれて助かったと言っていました」

「皆さんに慕われてるんですね」


「ありがとう…ございます」


そうか…俺、なにしてんだろ。ぼんやりすごしていた。


「あ、あの!明日もスカウトに行くんですけど…一目見てスカウトしてるなと思わせるにはどうしたらいいと思いますか?」


「名札見たいなものをつけるとか…」

「大声で叫んでみるとか」

「看板を掲げるなど」


…くそう。みんなそんなに案が。俺は何も考えもせずできないと嘆いていた。


「ありがとうございます!頑張ります!」


何だか元気になった。なんだ、沖縄で楽しい雰囲気とさよならしたと思ったけど、ここもそんな気分になれるのか。

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