第34話

「藤原さん、ずっと連絡してなかったみたいだね」


「バカなのかよ。ったく」


それなのにスカウトしたいなんて、適当なこと言いやがって。


「どんな女の子なの?」


「写真あるよ」


前に藤原さんが撮影したものだ。


「おお、なんか…あれだな。女優さんに似てる気がする」


「女優?」


「テレビとか出てる人。ほら、CMとか出てる」


「テレビとか見ない」


「確かにー。私も会社の食堂で見てたしなぁ」


「で?その人は人気の人?」


「たぶん?あんまり詳しくないけど」


「ふぅ〜ん?なら、ジャムより人気になったりしてね」


「ジャム?…アメリカに行っちゃったよね?」


「ジュンヤにお願いしてるんでね。戻すよ」


「うわ、それ大丈夫なの?本当にできそう?」


「知り合いらしーから」


「いやいや、事務所一緒なだけでしょーよ」


「もし戻らなくても、藤原さんのスカウトする子を売ればいい」


「…うまいこといくかな」


「さあ」


期待はしてない。今いる人をもっと大切にもしたい。みんなの心はぐちゃぐちゃになってるから、楽しい職場を目指したい。


「あ〜カメラマン連中まじで連携とれてねぇ〜。あの人たちはライバル意識してんの?呆れる」


「守、結構嫌われてるよ」


「どうでもいい」

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