第27話

「もうずいぶん前の話ですよね?なぜよく調べないんですか?」


「調べましたよ!梅田の事務所に行って…」


「それ以外は?調べることを放棄したんですか?」


「事務所の人が教えてくれなくて、それだけです」


「テレビで見たんですよね?ならわかるんじゃないですか?梅田さんが何したか知ってますか?」


社長は優しい人だと思ってたけど、急に厳しくなってしまった。


「詐欺ですよ。本人が主犯の」


「嘘ですそんなの!」


「本人から直接聞きたいんですか?なぜやったのか。会って何を話すんですか?」


「それは…」


「テレビ見れば梅田さんってわからないんですか?顔出ししてましたよ」


「わかりません!あんなの梅田じゃない!同姓同名」


「でも捕まってますよ?話をしてどうするんですか?」


「私は梅田の服のモデルなんです!だから、梅田がいないと…」


「梅田さんがいないと困るんですね。なら、さっさと刑務所行って話してみたらどうですか?」


社長はさっとメモに住所を書いた。


「この事務所には、2度と戻れません。あなたは梅田さんの関係者になるんだから」


「え、そんな…つもりは…」


「約束守って下さいね。こちらの退職願いにもその旨は書いてあったので」


「そ、んな」


「小暮くんにも会わないで下さい。今すぐ出て行って下さい」


慌てて社長室を立ち去った。

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