第26話
「会社に置いている荷物などありますか?」
「いえ…」
「では、今日で退職ということですね。書類用意して」
「はい」
前社長がなにか書類を用意している。
紙を目の前に置かれて、すこし不安になる。退職願。私はモデルしか今までしてない。なにができるって言うの?
「サインをお願いします」
前社長はいつものようにきつめだ。
「下津さん、手が止まってますよ?」
社長を目の前にして、書類が書けなくなってしまった。
「私…やっぱり…」
「下津さん。梅田さんを奄美で待ってあげないんですか?」
「え?」
「あなたの友人ですよね」
それって?
「梅田がどこにいるかわかるんですか?」
「サインしたら教えてあげますよ」
「はい…」
慌ててサインして、近くの席にいた前社長が回収した。
「これは、モデル事務所関係者には教えないでください」
「わかりました…」
「刑務所にいます」
「え!そ、そんな」
「会いたかったら、行ってください。住所は紙に書いて差し上げましょうか?」
「お願いします!」
「梅田さんはあなたに会いたいと思いますか?」
「…え」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。