第25話

翌日。私は社長室の前で待った。昨日の面接を終えてから、ずっと考えてた。


「おはようございます社長」


「下津さん、おはようございます」


社長は、妻になった前社長と現れた。


「あの…お忙しいと思いますが、少し話をしたいのですが…」


「わかりました。どうぞ中へ」


今きたばかりなのに急かしてしまった。が、どういうわけか、前社長がお茶を出してくれた。怖いと思ってたけど、もしかしたら違うの?


「社長、私は…モデルを続けられません。…実はずっと…辞めようかと思っていて。でも、梅田が…デザイナーで頑張ってること…会社やってること知って。それでまた、頑張ろうって思えたんです」


「そうなんですね」


社長は落ち着いていた。動揺してない。


「梅田がいなくなって、目標なくして…」


「そうですか。わかりました」


「でも、突然だから…仕事…」


「下津さん。奄美に帰りますか?」


「え、は、はい。そのつもりです。地元なんで」


「仕事はなんとかできるので大丈夫ですよ」


「…ありがとうございます」


そんなことできるんだろうか?みんなに申し訳ないけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る