第19話 エリナの過去
私は暗躍一族、七瀬家の長女として生まれた。
七瀬家は表向きは名の知れた大手企業を経営している。だが裏では日本経済を操り、一族に刃向かうものや邪魔者を排除してきた。
私には才能があった。そのため幼い頃から何をやっても人並み以上に出来た。周囲からは天才だの超人などと言われたが私の心はちっとも満たされなかった。
(つまらない……)
いつしか私は周囲を見下す様になった。彼らは私の才能に縋りよる凡才、そんな彼らがとても醜く写った。
そんな退屈な日々を過ごしていたある日父に連れてこられたパーティーで私は生まれて初めて、人に興味を持った。
その少女は綺麗な金髪にサファイアのように透き通った目をした美しい容姿だった。私と同年代にしては大人びすぎている雰囲気、大人相手に淡々と会話ができるその度胸にすごく興味を惹かれた。
(何……この気持ち……!)
生まれて初めての一目惚れだった。心の底から彼女を手に入れたいと思った。
その後私は彼女について自分が持ち得る情報網を使って徹底的に調べた。彼女は鳳条グループの令嬢で鳳条優菜というらしい。
「鳳条家のホープか……それでこそ私が一生を捧げるお方に相応しい……!」
その日から私の人生は初めて色がついた気がした。
それからあまり経たずにチャンスは訪れた。鳳条優菜専属の付き人の募集が始まったのだ。
条件は同い年であること、頭脳明細であること、顔が整っていること、ハーフであること。まさにわたしを呼んでくださっている様な条件だった。
だが愚かにも他にも候補してきた愚民共がいたので、圧力をかけて全員落としておいた。
そして顔合わせ当日私は緊張しつつも冷静さを保ちながら顔合わせに臨んだ。
ドアがノックされ扉がら開かれると、そこには私が惚れたこの世で最も美しい少女が立っていた。
「ああ、やはり美しい……!」
小声でそう言いつつ私は彼女に声をかけた。
「お初にお目にかかります。鳳条優菜様、あなた様の付き人として使えさせていただきます七瀬エリナと申しますよろしくお願い致します。」
彼女こそが私の敬愛すべき主人。その方の道を阻もうというのならどんなものでも容赦なく排除する……これが私の人生。
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