第18話 暗躍一族の本家


 

 突然現れた銀髪の少女は二人の少女に指示を出した。


「貴方達、もう作業は終わったでしょ。早く出ていきなさい。


「は、はい!」


「あとはお願いします!」


 二人の少女は素早くメモリを取ると、入り口に向かって駆け出した。


 急に現れた銀髪の少女に驚きつつも澪は冷静を保ちながら問いかける。


「君は……確か鳳条のご息女の付人だったかな?」


「あら?私のこともご存知なの? 」


「まぁ、これでも全校生徒の名前とどんな家柄かくらいは把握しているさ。君がここにきたということは……なるほど彼女達を裏切らせたのは君の仕業かな?」


 澪は相手の出方を伺うことした。相手がどこまで自分達の情報を知っているのか、彼女の目的はなんなのか探るためだ。


「そうよ。貴方達慶陰会が優菜様の周りを嗅ぎ回る様な真似をするから潰すことにしたの。」


「それはあまりにも浅はかな考えだね、この私の家暗躍一族の分家、一条家と知っての発言かい?」


「さぁ? 貴方の家がどうかなんて興味無いもの」


「そうか、じゃあ消えてもらおう」


 次の瞬間澪がナイフを取り出し一瞬にして少女の間合いに入った。


 そして腹部目掛けて殺す気で放った。それは常人なら認識できないスピードだった。だが少女は余裕の笑みでナイフを止めて見せた。


 澪は反撃を警戒し、急いで距離を取った。


「危ないわね、そんな物騒なもの取り出して……私じゃなかったら死んでたわよ?」


「君、もしかして格闘家かなんか?」


「私はただの付き人よ。そうただのね」


「付き人がそんなに強いわけないだろ」

 

 苦笑いを浮かべながら澪が呟いた。


 (まずい、この少女は思ってた以上に手強い!)


「次はこちらの番よ」


 銀髪の少女がそういった次の瞬間、銀髪の少女が消えたと思うといつの間にか宙に投げられていた。


「がはっ!!」


 激しく床に叩きつけられ全身に猛烈な痛みが走り、思わず悲鳴をあげてしまった。


 その様子をエリナは呆れたような目で見つめていた。


「やっぱり大したことないわね」


「ぐっ……!! 舐めるなよ、君達が生きている面の世界とは違い我々一条家は太古から日本の裏世界を生きてきた。君なんか一条家の力を使えば抹殺することなどいつでもできる。精々一条家を敵に回したことを後悔するといい!」


「はぁ、なにを言い出すと思えば……裏の世界で暗躍してきた? それは本家がしてきた偉業でしょ?」


「はは、それがどうしたというんだい? 本家などとっくの昔に滅んだ、現在日本を裏から支配しているのは一条家だ!」


 本家はどの歴史書にもその存在は記述されていない。今では一条家が本家なのでは? と言われ始めるほどに。


「全く、歴史の陰に潜めなかった分家の分際でよく言えたわね」

 

 その時エリナの雰囲気がガラッと変わった。今まで見せていた。雰囲気とは違い残忍、冷徹というのが相応しい恐ろしい雰囲気だ。


「分家の人間ごときが本家直流の人間にかなうと思っているの?」


「そんなまさか……ありえない……本家の人間など!」


「分家ごときが……この私の敬愛する主人に危害を牙を向いたこと一生後悔しながら生きるがいい。」


 その後慶陰会は一条澪の退学により、壊滅した。

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