第4話

余命宣告をされてから三日。残り日数は五十七日。

もう何も気力が起きなくなった。会社にも行ってない。ご飯も食べてない。でも頭の中だけはぐるぐると脳が働いていて、それが余計に余命と死という単語を結び付けようと悪戯している。そんなとき、家をコンッ。と叩く音がした。別に呼び鈴はついてる。もう返事をする気もなくて居留守を使おうとしたとき、

「入りますねー。」

と声がして、ガチャッ、と鍵を開ける音が聞こえた。

「え、ちょ、ちょっと!」

と声を上げたのも甲斐空しく、ドアが開いた。

「どうもどうも。」

と家の外から部屋の中へ、そして目の前に現れたのは、まったく知らない女子高校生だった。色々訳が分からなくなっている自分を他所にその女子高生は再び口を開く。

「どうも。ワタリ、っていいます。よろしく。」

と明るいのか暗いのかわからないテンションで自己紹介をする彼女に対し、

「君は誰で、どういうことだ。」

と思ったことをそのまま彼女に言うと、彼女はこう説明を続けた。

「私は寿命買い取り屋をやっているものです。病気やある一定の理由で、これ以上生きる意味を見つけられないといった方のところへ行き、お金と引き換えに残りの寿命を買い取るという仕事をしています。」

そう彼女は言った。

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