悲しみの色

静けさの中に僕がいて君がそこにいる。

音の中に静けさがあり音の中に静けさがある。

二人の想いはどこにあるのだろうか。






「利夫さん、どうして、そのような表情をしているの・・・」

「いつも、いつも、そんな目で見ているの。」

「どうして・・・」


「僕はそのように君を見つめているのかな?」

「それは、どういう色をしているかな?」


「悲しみの色です。」

「悲しみの音をたてながら、私に襲ってきます。」


「そうかな?」

「どうして、そんなことを言うの?」


「どうして、わからないのですか?」


「ああ、わからないよ。」


「それが、嫌なのです。」






「お母さん、理由があるの?」


「それは、どういう意味?」


「生きている意味です。」


「それは、礼子がいるからよ。」


「私はここにいるの?」

「どうして、ここにいるの?」

「わかりません。」


「礼子・・・」

「そんな、悲しいことを言わないで。」


「どうして、悲しいの?」

「わからないの?」


「わかりません。」

「生きているという事は楽しいの、それとも幸せなの?」


「それがわからないの?」


「わかりません。」

「それが、わからないのです。」




テーマ


「幸せってなんだろうね。」


「わかりません。」


「見つけてみようか。」


「自信がありません。」


「なんだか、見つけられそうな気がするんだ。」


「そうでしょうか・・・」


「雪も降っているし寒いかな?」


「いえ、利夫さんの手が温かいです。」


「僕も温かいよ。」

「雪は消えていくけど、君のぬくもりは消えないような気がするんだ。」


「これが、幸せなのでしょうか?」


「もしかしたら、雪の冷たさがそれを感じさせてくれているのかもしれないね」

「なんだか、悲しみの色が消えていくような気がするよ。」


「悲しみの色とは何でしょうか?」

「私のような色ですか?」


「そうかもしれないけど、今は少し違うような気がするよ。」


「これが、幸せなのでしょうか?」


「そうかもしれないね。」

「とにかく、灯りを目指そう。」


「はい。」

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