第3話 高校入学
中学の部活を引退してからまたもや全国からスカウトが舞い込んだ。
全国大会には出ていないものの、地方大会であれだけ大暴れしたのだ。そりゃローカルニュースには乗るし、この時代だからネットの掲示板なんかにもやばいやつがいる噂は一気に広がった。
だが、やはり家から離れるのは必須なようだ。だいたいが寮ぐらし。面倒だ。
待遇はそこそこ良かったと思う。何しろ入学時からセンターフォワードのポジションでの大会出場を保証され、学費も全額免除、卒業後のキャリアパスにおいてもJapanリーグのチームへの推薦まで取り付けていた。
正直迷った。が、面倒臭さが勝った。割と自分勝手にやらせてもらえるのだろうが、どうも調べてみるとどのチームにも哲学があり、勝ち方が有る。それが相容れないと感じたのもある。
結局また家から一番近い高校を選んだ。県立高校なので学費もそこまで高くない。
県立八田ヶ谷高校。創立150年を誇る名門校で、偏差値は60と高め。まあ俺はスポーツ推薦だったので関係ないのだが。
そう、通常なら県立高校にスポーツ推薦なんてもの無かったのだ。だが、地元のサッカーをよく見ていた高校サッカー部の顧問であり監督であった
試験はまあ、簡単だった。入試の過去問と比べても簡単なことは明らかだったが、俺は並程度の学力はある。偏差値は55と少し足りないが。
そんなこんなで高校に入学した。
高校入学時の体格は、身長196cm,体重86kgと更に強靭に成長した。
自分の取り柄であるどこからでも撃つことが出来るシュートを殺さないために、ひたすらに体幹を鍛え、柔軟にも取り組んだ。そして長い脚を早く振り下ろすためのトレーニングも積み、シュートだけなら誰にも負けないほどの力を付けることを目指した。
そして当然所属する部活はサッカー部だ。
このサッカー部、中学ほどとは言わないまでも弱小と言って間違いはなかった。
部員は二年と三年を合わせて18人。うち8人が三年生なので人数で言えば少し頼りない。
戦力的には体が育ってきていることもあり、県予選では2回戦か3回戦までは行けるのだが、そこで敗退することがほとんどのようだ。
実際インターハイ出場はない。
-------------------------------------------------------------------------------------------
ただし主人公である水瀬は知らないが、指導者は最近大きな変革を迎えていた。
この高校の卒業生であり、Japanリーグのチームの一つである筑豊フランカーズでディフェンダーとして活躍していた元プロサッカー選手である
敦賀は監督から
その結果が推薦の実現につながるのだが、その時の話はまた今度。
-------------------------------------------------------------------------------------------
入部希望の新一年がぞろぞろとサッカーグラウンドに集まってくる。
俺が一番乗りだったが、あとから8人ほど集まった。俺より体格のいい学生はおらず、みんな身長はそこそこあるものの体が細く、少し当たれば砕け散りそうに感じる。
「今日は体験入部に来てくれてありがとう。私が監督の御手洗歳三だ。そしてこの部には元プロサッカー選手の水瀬くんもいる。紹介は入部が正式に決まってから行うこととして、いきなりだが紅白戦をしよう。ちょうど8人なので新入生は4人ずつに分かれ、残りの7人は適当に2年と3年に入ってもらう。」
どうやらいきなり紅白戦らしい。まぁ朝から準備運動は完璧にしておいた。いつでもシュートを撃てるベストコンディションだ。
「チームの方針は特に決めない。時間は15分ハーフのアディッショナルタイムなし。プレーが切れたら終わりで、交代もなしだ。自分にできることを最大限やった上で、この部活でやっていこうと決心出来るかどうかを試してくれ。」
ふむ。方針は無いらしい。なら好き放題やっても良いということだよな?
高校最初の試合が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます