83 特級冒険者への昇格
翌日。王都アレリアへ帰るレイナ姫を見送ことになった。
「セーヌさん。きっとまた会いましょうね!」
「はい。レイナ姫もお元気で」
「セーヌさん。私もまた会えることを楽しみにしています」
「はいリネスさん。また会えますように……」
馬車へと乗り込む二人へ別れを告げ、二人を乗せた馬車は王都へと向かって走り出した。
「レェイオニードさんは一緒に行かなくてよろしいのですか?」
私は一緒にレイナ姫達を見送っていたレェイオニードさんに声をかける。
「えぇ……俺はおいおい……。
それよりもセーヌさん。特級冒険者への昇格の件です」
「はい。もしや推薦して頂けるのでしょうか?」
「えぇもちろん! 俺と連携してエンプレスを倒した見事な腕前、しかと確認させて貰いましたからね。こちらの推薦状を冒険者ギルドへ渡してください」
「ありがとうございます」
ペコリとお辞儀して推薦状を受け取る。
「では、早速冒険者ギルドへ行ってきます」
レェイオニードさんにそう言い残して、私は冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドへ着くと、私はゼフさんを見つけて推薦状を渡した。
「ほぉ……あのレェイオニードが推薦状を書いてくれたか。
まぁエンプレス討伐の立役者だ。異例のスピード出世とはいえそうなるだろうさ。
昇格だセーヌ」
「はい。ありがとうございます」
ゼフさんが手続きをして、私は冒険者カードを水晶へ触れた。
【特級冒険者S】。
特級冒険者としての経験を飛躍的に成熟させる。
また上級冒険者への昇格をギルドに進言できるようになる。
ついに、私が特級冒険者へと昇格した。
あと残すところは超級冒険者と神級冒険者の2つのみだ。
冒険者としてどれだけの研鑽を積めば超級や神級になれるのだろうか。
私の胸は踊りっぱなしだ。
「セーヌ。俺の要件は終わったわけだが……どうする?
このままフランシュベルトに居てくれたっていいんだぜ」
ゼフさんが私を引き止めるようにそう言う。
しかし、私には大切な故郷がある。
「いえ、両親も心配しているでしょうから、セーフガルドへ帰らせて頂きます」
「そうか。まぁ気をつけてな。ホウコによろしく頼む」
「はい。ありがとうございました」
私はそうしてフランシュベルト冒険者ギルドをあとにした。
うきうき気分で宿へ戻ると、エルミナーゼさんが戻っていた。
「こんにちはセーヌさん。……その様子だと無事特級冒険者に推薦してもらえたようですね」
「はい。レェイオニードさんに推薦して頂きました」
よほど私が嬉しそうな顔をしていたからだろうか。
見事にエルミナーゼさんに看破されてしまった。
「セーヌさん。王女様のご要件は終わったのでしょう?
セーフガルドへ戻られるのですか?」
「はい。両親が心配なので一度セーフガルドへ戻ろうかと」
私がエルミナーゼさんにそう伝えると、ちょうどよくリエリーさんがミサオさんを伴って宿へ帰ってきた。
「セーヌさん! 王女様は無事王都へ帰られたのですか?」
「はいリエリーさん。しっかりとお見送りをさせて貰いました」
「そうでしたか。それで、どうしますか?
このまま魔族領の街コルドナードへでも行ってみましょうか」
「いえ、一度セーフガルドへ戻ろうかと……」
「了解しました! フランシュベルト遠征終了ですね!」
私がセーフガルドへの帰還を告げると、リエリーさんは納得するように笑う。
するとミサオさんが「では私、馬車の交渉をしてきます!」と言って、再びリエリーさんを連れて宿を出ていった。
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