78 招待
レイドクエストが終わり、私達のパーティも戦利品買取と分配を経て解散。
私はフランシュベルト冒険者ギルドの受付で、ひっそりと水晶に冒険者カードをあてる。
【上級鑑定妨害抵抗S】。
上級の鑑定妨害に抵抗できるようになる。
鑑定妨害を上回るランクの鑑定で鑑定を行った時に稀に獲得可能。
【回転斬りA】。
体を大きく捻って横に回転斬りを放てるようになる。
【古式初級氷魔法B】。
古式初級氷魔法を習得した証。
【古式中級氷魔法B】。
古式中級氷魔法を習得した証。
【古式上級氷魔法B】。
古式上級氷魔法を習得した証。
【古式神速・氷舞S】。
身体強化と古式上級氷魔法と古式上級風魔法の移動補助を用いた複合スキル。
その舞を見たものは凍てつく前に死を覚悟する。
【英雄A】。
英雄となったものに与えられる。
各種能力に補正がかかる。
【魔法使い狩りA】。
魔法使いを一定数倒したものに与えられる。
魔法使い相手に有利に立ち回れるようになる。
【ゴブリンの殲滅者S】。
ゴブリンを多く狩ったものに与えられる。
ゴブリン相手に有利に立ち回れるようになる。
まず鑑定妨害抵抗スキルの上級がSランクで獲得できていた。
上級鑑定妨害スキルを持った冒険者がレイドクエスト参加者にいたのだろう。
また、回転斬りAスキルを獲得出来ている。
奇術師を屠るために空中で使ったからだろう。
そしてエンプレスに接近する際に氷元素を用いた古式神速をアレンジで発動したせいだろう。
古式氷魔法群と共に古式神速・氷舞を習得している。
古式神速のバリエーションの一つなのだろう。
古式氷魔法が誰かに教わったわけではないのでBランクなのが微妙なところだ。
次に、ついに私も一端の冒険者となったのだろう。
なんと英雄スキルを獲得している。
Aランクとはいえ今後有用なスキルとなるだろう。
他にもAランクとはいえ、魔法使い狩りスキルも今後有用となるに違いないスキルだ。
ゴブリンのように派生進化個体が多い種を相手取る際や対人で役に立つはずだ。
ゴブリンの殲滅者スキルは今後もゴブリン軍団が発生しないとも限らない。
今回のような時にとても重宝することだろう。
今回のレイドクエストではいくつも有用なスキルを獲得できた。
初めてのレイドクエスト参加だったが、勉強になることが多かった。
今後も冒険者として、そしてギルド受付として積極的にレイドクエストに参加していきたい。
これからも頑張っていこう!
∬
レイドクエストから2日後の昼。
私は再びレイナ姫に呼び出された。
待ち合わせはフランシュベルト冒険者ギルドだ。
「セーヌさん!」
私が受付にいると、レイナ姫がリネスさんを伴ってやってきた。
「レイナ姫……この度はお疲れ様でした。レイナ姫がいたからフランシュベルトの街は守られました」
「指揮官役というのも悪くはなかったわ!」
レェイオニードさんが本陣を西の森西端駅に移動する際、街の防衛としてレイナ姫を指揮官役として残してきたのだ。
少なくないゴブリンが街に迷い込もうとしたのを防いだと聞いている。
「それで……セーヌさんにはエンプレスを狩った本人としてちょっと来てもらいたいのよね……」
レイナ姫が封筒を私に差し出す。
「失礼します……」
私は受け取り中身をざっと確認した。
「な……!」
「驚いたでしょう?」
私が驚愕の表情をしてレイナ姫を見やる。
「魔王からの会食の招待状ではないですか……!」
「そう。あの魔王がぜひ私に会って直々に話がしたいってことなのよ。
それとここを見て? ほらエンプレスの討伐者にもお会いしたいって書いてあるでしょう?」
言われた場所を読むと確かにそう書いてある。
私に魔王が一体何の用があると言うのだろう?
会食の日程は今夜となっていた。
「というわけだから、来てもらうわよセーヌさん!
レェイオニードも来る予定よ!
あとこの会食、魔王領の高級レストランでやることになってるのよね……ドレスコードがあって……セーヌさんドレスは?」
「いえ……」
私はふるふると首を振って、ドレスなど持っていないことを伝える。
持っているのは受付としての制服と冒険用の洋服だけだ。
「そう! それじゃあ早速洋服屋に行きましょう!」
「はい」
レイナ姫とリネスさんに連れられ、私は街の洋服屋へ直行した。
洋服屋へ着くと、レイナ姫がいくつもの既製品のドレスを持ってきて私に試着を促す。
最初のは東方風の青のドレス。
足元に鋭くスリットが入った大胆なものだ。
そして次は、アレリア風の黄色のドレス。
最後は、フランシュベルトで流行りの赤のドレスだった。
レースがふんだんに使われていて高級感が有る。
「セーヌさんどれも似合うわ~」
と言いながら、まるで着せ替え人形のようにされた私。
結局、最後に着たフランシュベルト流行りの赤のレースドレスを購入することになった。
「お代は……」
決して安くはない。4000エイダもするドレスだ。
私はお代を出そうと金貨袋に手をかけた……のだが。
「これは私が持つわ! なにせ魔王の招待だもの。国の今後がかかってるのよ!
セーヌさんに粗末な格好なんてさせられないわ!」
そう豪語するレイナ姫がドレス代をまるまる払ってくれた。
「ありがとうございます」
「いいのいいの!」
決して私の手持ちが足りないというわけではなかった。なにせこの間の分配で10万エイダ以上を得ているのである。けれど、出してくれるというのは素直にありがたい。
そして次にリネスさんの緑色のドレスを購入。
それから西の森西端駅に甲冑でいるレェイオニードさん用に、貴族用ブラウスと皮のズボンをセットで購入した。
そうしてドレスを手に入れた私達は、西の森西端駅へ馬で向かった。
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