51 未踏領域探査報告
私が受付となって捌ければいいのだが、今回の収穫は私単独の業務の域を超えている。
だから私は最初からギルドマスターのホウコさんを呼んできていた。
「ホウコさん……こちら即帝領の大太刀と棺の装飾品になります」
「まさか本当に本物を見つけてくるなんて……」
ホウコさんはそう言いながら、大太刀と装飾品、中でも神級遺物であるエメラルドを鑑定していく。そうして数分が過ぎ、
「えぇ……間違いなく即帝領の大太刀の本物。及び神級遺物でしょうね……。
セーヌの鑑定Sでは等級値25万とでたんでしょう?
私の鑑定Aでは等級値20万以上としか言えないわ。
どちらにせよ神級遺物に該当するくらい高い等級値よ」
「はい。間違いなく。名称はエメラルドエンプレスと出ました」
「エンプレス……皇后に送られたエメラルドってところかしら。
このクラスとなれば、北方の天山付近の鉱脈くらいしか出どころはないわね。
即帝時代に天山まで、即帝が統治を広げていたってことかしら……」
ホウコさんが自身の顎を撫でながらエメラルドの出自に思いを馳せる。
「いずれにせよ。
これで即帝領の未踏領域の探索依頼は全て達成とさせて頂きます。
エメラルド他装飾品や大太刀などはどうされますか? ギルドで買い取ることも可能と言えば可能ですが……」
「うーん。ウチに刀使いいないし大太刀は買い取りで!
エメラルドや装飾品に関してもちょっち使い道が思い浮かばないから買取でお願いします!」
イアさんが元気よくホウコさんに答え、ホウコさんと買取査定額についての相談を始めた。
「一体おいくらになるんでしょう!」
ミサオさんは買取価格が気になるようで、ホウコさんとイアさんの相談に耳を傾けていた。
「それでは上級探索依頼達成ですね。皆さんお疲れ様でした」
私は上級探索依頼所定の報酬を、買取査定額に先んじてナミアさんに手渡した。
「どうも、ありがとうございます。
この場に特級冒険者がいれば、リエリーさんとセーヌさんの二人を上級冒険者に推薦もできるのですが……いやはや上級冒険者止まりとなると、スキルが得られたところで中級止まりとはなんとも切ないものです」
「えぇ……!? 私は罠や仕掛けを担当しただけなので、とてもとても上級冒険者だなんて……! 勘弁してください!」
リエリーさんはナミアさんの言い分に、謙遜してペコペコと頭を下げる。
「まぁ……そんなに!?」
「イヤッホー!」
すると、ミサオさんが驚嘆の声を上げ、イアさんも勝利の雄叫びを上げる。
「査定額、合計で500万エイダだそうですよ!?」
「なんと……となればお支払いは分割ですね」
ミサオさんが驚きの表情で金額を言い、私がギルド倉庫に普段収められている金額を軽く超える金額の提示に、冷静に分割払いになるであろうことを告げた。
「ま、そだよねー。いきなり500万エイダがっぽがっぽって事にはならんか。
というか100エイダ金貨で貰っても何枚あんのさ!
とってもじゃないけど持ち歩いて冒険ってわけには行かない金額だね……!」
イアさんがニハハと頭の後ろで腕を組みながら笑う。
「と、なれば……」
ナミアさんがそう言ってソラさんの顔を見た。
「はい。ユリアスの怪我の件もありますが、
暫くはセーフガルドを拠点として冒険せざるを得ませんね!
皆さんお疲れ様でした。それと分配が終わるまで、もう暫くの間よろしくお願いしますね!」
ソラさんが微笑を浮かべながら私達皆に頭を下げた。
私は莫大な量の分配金に胸を高鳴らせるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます