第14話「腑分け。さらば友よ」

 捜索隊の到着日が正式に決定した。二日後に来る予定だそうだ。


 これは武林所に届けられた手紙に記載されており。迎えの馬車が皇都を出発する前に出されたものらしい。手紙の方が先に着くのだ。


 それで、その馬車が来るまでは俺も暇かというとそうでもない。

 こっちで自分から始めた仕事に加えて、手紙に記載されていた仕事もこなす必要があったのだ。


「ぐもー。ふんごごむごごんご(ぐえー。結構においますねぇ……)」

「ふむむもほむもも。むごごふむむんむむご(見た目はアレだが。元は蛇だからな。)」


 俺とビンス、それに加えてデウスとシィさんの四人に加え、十数人の白巳流の武芸者たちで編成された一行は。大きな荷車と木箱、そして大量の道具をもって黒蛇の妖魔が墜落した現場へとやってきていた。


 手紙に記載された仕事とは。黒蛇の討伐を確認するための死骸の回収だった。


 本来、妖魔を討伐した証は、その妖魔の特定の部位を解体して持ってくるか、丸ごと死骸を持ち帰るのが通例だ。

 妖魔とはいえ死骸を人里に持ち込むのは衛生上良い事ではないので。武芸者は大体倒したその場で解体する。俺もそうしている。


 だが、今回は異常な挙動をした特別な妖魔なので、拾えるだけ拾うように命じられている。何と、皇帝陛下の勅命だ。


 そういうわけで。丁度、暇だった白巳流の門下生の皆さんと、陛下直々の仕事という事で同行を申し出てきたデウス主従の力を借りて、黒蛇の死骸を回収する事になったのだ。


 死骸運搬の機材は皇都持ちなので、ベラトレの町に住んでいる道士の職人に力を貸してもらう事にした。

 普段は食料運搬に使う、保存用の術式を刻んだ木箱を、特注の大きさで作ってもらい。それをたくさん乗せた特大の荷車を、武芸者の身体能力に任せて現場まで運ぶ。


 そうして到着した墜落現場は。出発前の予測通り腐敗が始まっていて、予め用意していたにも関わらず、ひどい匂いだった。



※ここからはマスクを着用してしゃべっておりますが。通常通りの記載となります。



「うへーでっかいなぁ」

「こんなのよく仕留められましたね。大変だったでしょう」

「まあ。俺がやったのはトドメだけだから」


 大半が砂の中に埋まっていても、露出した個所へ死肉を啄みに来た鳥や獣がうろついていた。

 武芸者という格上の生き物が来たら解散したが。未だ遠巻きに俺たちが去るのを待っている。


「あまり時間をかけたくないですね。妖魔も来れば回収どころではない」

「箱の大きさは問題なさそうだ。予定通り解体していこう」


 スコップを用いた手作業で砂をかき分け、死骸を露出させた後は。いくつかの班に分かれて分業体制で作業を始めた。


「うわっ。思いっきり膨らんでる……」

「一回中に溜まった臭気を出そう。このままじゃ切るどころじゃない」


 まずは箱に入る大きさに切り分ける。頭部が消滅しているが、それでも大型旅客機の胴体程度には大きな黒蛇は。特注の箱でも入りきらない。

 その為に分割する必要があるが、それを実現する大きさの刃物は貴重なので。借りてきた。


「店長、よくその斧貸してくれましたね。大事なものでしょ?」

「「皇帝陛下直々のご依頼とくれば俺が出ない訳にはいかねぇだろっ!」って言ってました。本当は本人が来たがっていたんですが……」

「あの人腰やってるからな」


 武林所の店主に借りた大戦斧を振りかぶり、勢いよく振り下ろす。

 その威力はすさまじく、あれほど硬かった鱗込みでほんの四、五回切っただけで切断することに成功した。


「斧は大丈夫か?」

「全然平気ですね。さっすが良いモノ持ってるなぁ」


 切断が完了した後は、内臓の処理を行う。

 普通の動物なら穴を掘って埋めたり、持ち帰って食べるのだが。これはそれ以前に腐っているので、密閉して梱包する。


「はぁー……今日絶対お肉食べれません……」

「安心しろ、俺もだ」


 木箱の内側にはロウを塗りたくってあり気密性を保持してあるので、血と砂で汚れているモノでも問題なく収容できた。

 小分けに出来そうなら塩漬けにするが。俺が中で暴れた事もあって、原形をとどめている物は少ないので。結局、小型の箱は心臓や小脳に使われたのみで、ほとんど出番がなかった。


「うえぇ、感触が……ひどい……」

「いちいちうるせぇ。黙って無心でやるんだよ。ほら、こう……」

「デウスすげぇ……まるで気にしていない」


 無事な内臓はすべて回収できた。次は筋肉を始めとする肉体を羽と胴体で分けて箱詰めする。


「何でこんなに羽生えとんの?アホちゃう?」

「ていうかこの羽かったい。切るよりちぎった方がいいよ」


 翼は鳥類に酷似しているが、そのどれとも似ていないので。一応、大きさで分けてひもで縛って梱包した。

 羽を取り除いた胴体は、すでに面影は残っていない。何とか元の動物が蛇だと分かるくらいだろうか?


「はぁ、何とか夕暮れ前には出発できそうだな。一回休憩するか」

「最悪。髪に汁が付いてる……」

「すぐそこが河なんだから洗ってきなよ」

「嫌。どうせすぐ汚れるじゃん。最後に洗う」


 お昼休憩は見張り役と休憩班に分かれてとった。

 まだまだ野生動物がこちらの様子を窺っているし、休息中の班員を警護する必要もあった。


「あいつらにはこれがご馳走に見えるのか……」

「動物だしね。それが普通なんでしょ」

「やばい、弁当に肉入ってる。吐きそう」


 自分の休憩になって。現場から離れたところでマスクを外すと。呼吸が楽になると同時に凄まじい腐臭が鼻を突いた。 

 座り込んだ砂地にも汚れがたれ落ちて、実に不快な感触で全身が包まれている。


「人生最悪の気分だ……」

「奇遇やね。オレもや」

「公衆浴場って何時までやってたっけ……」

「そもそも出禁になるやろこれ」


 隣にいるビンスと話しながら食事を詰め込んでいく。今は味を楽しむ気分じゃなかった。


 少し離れてデウスとスゥさんも休憩していたので絡みに行く。

 どこか呆然と河の流れを見ている二人には悪いが、俺の仕事に同道している以上、おしゃべりには付き合ってもらう。


「よう、お二人さん!作業お疲れ様!」

「あ、アロンさん。お疲れ様です……」

「おう……」


 休憩中の二人は砂山に並んで腰を下ろして体を休めていた。

 俺もそうだが、作業着の上から体中に汚れが付着していて、その姿だけ見れば地獄の死霊のようにも見える。


「ちょっとデウスに話が合ってさ」

「俺に?なんだ、言ってみろ」


 気を利かせて中座しようとするスゥさんを、デウスは目で諫めた。

 それに従い再び座るスゥさんを見ながら、俺はデウスの空いている隣に座ると、こっそり耳打ちした。


「悪い。ホオユさんからお前の身体の事聞いちゃった」

「そうかよ」


 本人のいないところで聞いてしまったので、一発程は殴られる気でいたが、デウスの反応は薄い。


「親父は何考えてんだか、ほぼ通りすがりのお前に家の恥をさらすとは……」

「意外と怒らないな。一発ぐらいは殴られる気だったのに」

「何でお前を殴るんだよ。やるなら勝手に話した親父だろ」

「確かに」


 俺たちの会話内容にスゥさんはハラハラしてる。かわいい。


「一応聞くが。お前は俺の症状について、何か改善に繋がる何かを知っているか?」

「うーん……ちょっと失礼」

「ゔぇっ!?」


 一言断って俺は手袋を脱いでデウスの頭をつかむ。スゥさんの驚く声を余所に、俺は意識を集中してデウスの体内を精査する。


 内部に自分の頸力を流して調査してみると、確かに体内の頸力が少ない。頸力が流れる頸路の出口が全身ガバガバだ。

 これでは頸力を練る傍から体外へ放出してしまい、使う事はおろか体内に留めることも出来ないだろう。普通、ここまで体内に頸力が少ないなら、健康にも影響が出そうだが。デウスは体自体はとても健康だった。


「……で?何かわかったか」

 突然の行動にもデウスは動じず、寧ろ興味深そうにこちらを見ている。


「なんかお前。頸力抜きでも大丈夫な生き物になってるぞ。身体の中に頸力がほぼ無い」

「なんだそりゃ」

「だけど、頸力を練ること自体は出来そうだから。頸力操作で意識的に体内へ留める様にすれば、身体能力は戻りそうだな」


 俺の言葉に半信半疑だったが、さっきの調査で俺の技術の高さを知ったデウスは。物は試しと、頸力を練って体内に留めようと神経を集中させて試みる。


「……本当かよ」

「えっえっまさか……」


 少々時間がかかったが、無事に身体強化は出来た。

 

「い、一体どうやって?高名な道士様にも分からなかったのに」

「少し頸路に関する学術に触れる機会があったんで」


 師匠との修行で教えられた、細かな頸力の操作法がここで役に立つとは思わなかった。

 隠形を行う時に、周囲の気配を真似して溶け込む必要がある。そのために精密な頸力操作に加えて、感知と精査が必要だった。

 それの応用で他者の体内を調べる事が出来る。黒蛇のとどめを刺すときもこの技で脳を探した。


「まあ、外部を頸力で防護しないと、碌に物を殴れないと思うぞ」

「それでも上等だ。まさか、再び頸力を使えるとは……」


 場所が場所だし、格好が格好なので静かに喜んでいるが。デウスの顔は本当にうれしそうだ。


「これで帳消しにしといてくれ」

「十分すぎる。感謝するアロン」

「わ、私からもお礼を述べさせてくださいアロン様」


 主従に礼を言われたので。俺はこう言って返事をした。


「じゃあ、午後からの作業も頼んだぜ。頼りにさせてもらう」


 主従の顔はさっきまでの時化た面に戻った。




「よしっ!後は肉だけだ!さっさと終わらせて帰るぞ!」

「「「おぅっ!!!」」」


 最後は切り分けた肉だ。

 五等分され、内臓を取り除かれ、羽を引き抜かれた胴体を更に切り分けて。木箱に入りきるように敷き詰める。

 骨も可能な限り小さくまとめた上で箱に収納する。ここでも大戦斧が活躍した。


「もう、隙間にねじ込め。どうせ向こうでもバラバラにするんだ」

「まだ空いてる箱無いー?」

「これ絶対小骨じゃないよな?同じ部位の骨が沢山被っているんだけど……」


 そうして全ての梱包が完了したら、その箱たちは丁寧に紙でくるむ。

 これは梱包用に造られた特別な紙で。軽量な割に頑丈、匂いも水気もかなり制限する超高級品だ。

 今回は費用を皇都が持つという事で、町にある在庫をかき集めてもらった。これを教えてくれた店主さんには深く感謝したい。


「包み終わったら言ってくれ。蝋で留めて封をする」

「存在は知ってたけど、初めて初めて触ったぜこの紙」

「絶対に破るなよ?これのあるなしでかなり違うらしいからな」


 そうして密封が完了したところで、何とか作業は完了した。所要時間は合計七時間。一日仕事となったが、それでも驚異的な速さだ。


「お」「お」「お」

「「「「「終わったっー!!!」」」」」


 ここまで作業を共にしてきた我々は。分かちがたい絆で結ばれた。

 俺との確執があったはずのデウスさえ、俺と拳を合わせて歓声を上げる程、この作業はきつかったのだ。


「皆さん、お疲れさまでした!解体作業完了です!」

「「「お疲れさまでした!!!」」」

「作業着を着替える天幕を用意しています。組み立てが終わり次第、着替えて密封済みの箱を一度洗浄してください。作業中に着いた汚れを落とします!」

「「「了解!!!」」」

「洗浄が完了した箱からドンドン荷車に積んでください!それが終わったら帰りましょう!」

「「「おぉっー!!!」」」


 一番きつい作業を終わらせた俺たちは、今日一日だけで大分上達した手際でテキパキと残りの仕事を終えた。


※ここからはマスク無しの通常の状態に戻ります


「積み終わったら確認を忘れるな!絶対に落とすなよ!」

「縛りつけてしっかり結べ。慌てるな、ゆっくりでいい」

「これで最後か」


 そうして全ての木箱が荷車に乗せられ。ここにあった筈の黒蛇の死骸は、わずかな痕跡を残してキレイさっぱり消え去った。


「それじゃあ、出発前に最後の作業を始めようか」


 数人、体力に余裕がある者を選出し、死骸の跡地を囲むように配置した。

 俺の合図と共に、彼らは一斉に砂を巻き上げて跡地へと注ぎこんで行く。


「埋まれぇっ!」

「消えろぉっ!」

「二度とくるかぁっ!」


 怨念すら感じる掛け声とともに、大量の砂で埋められた跡地は。最早、他の砂浜と変わらない、黒蛇が墜落してくる前の状態へと戻った。


「これにて完全に作業は終了!皆ぁ!帰るぞぉ!」

「「「「「おおぉっー!!!」」」」」


 荷車を交代で引くことによって、俺たちは積み荷を気遣いながら全速力で町へ帰還した。


 途中、積み荷を奪おうとした流れの賊がケンカを売ってきたが。殺意に満ちた武芸者十数人の手によって、全員簀巻きにされ地下牢へとぶち込まれたのだが。これは完全な余談である。




 黒蛇の妖魔に南西地方へ攫われてから数日。とうとう俺の捜索隊がここベラトレに到着した。


「ご無事でしたかアロン殿!お元気そうで何よりです!」

「皆さん、わざわざありがとうございます。お手数おかけして申し訳ございません」


 捜索隊は俺と共に黒蛇の妖魔と戦った、神将戌依流の兵士さん達で構成されていた。

 中には俺とセイシュウに通路で攻勢を持ち掛けた兵隊長もいて。俺たちはしばらく再開とお互いの無事を喜んだ。


「それではアロン・ユエシェイ殿をお預かりします」

「お任せします。必ずご家族の元へ連れて帰って下さい」


 神将白巳流から捜索隊への俺の身柄の引き渡しは滞りなく進み。持ってきてもらった自分の服にそでを通した俺は、着々と皇都へ戻る準備を進めていた。


「さみしくなるなぁ……」

「いや、それオレ等のセリフやね」

「せっかく仲良くなったのに帰るのめんどくさいなぁ」

「ちょいちょい本音出とるで。あとそんな手際ように、帰り支度しながらやと全然説得力無いんやけど」


 とても充実した滞在期間の間に増えた俺の荷物を梱包していると。ビンスが様子を見に来ていた。


 このツッコミとも今日でお別れだと思えばとても名残惜しい。


「それにしても武林所の店主さんには悪い事をしてしまった」

「ん?なんでや?」

「注目の有望株がすぐにいなくなってしまうからな」


 俺の懸念を聞いたビンスは、心底馬鹿を見る目でこっちを見ていた。


「そんなんどうでもええわ。オレの知らんとこで何かやったんかと思てビビったやんけ」

「あははははっ信用が無ぇ!」

「ある意味信頼しとんや」


 たった数日の付き合いだが、俺はすっかりビンスを気に入っていた。

 本当に名残惜しく感じているのは、この友人と分かれることだ。と言える位には。


「そんでどうやって帰るん?馬車でも用意しとるんか」

「そうそう。それで積み込んだあの妖魔の死骸と一緒に皇都まで戻る予定なんだよ」


 その言葉に俺たちは同時に苦笑した。


 あの戦いで絆を紡いだ十数人は、打ち上げに武林所を貸し切り、盛大な飲み会を開催した。


 その過程でドンドン町の人も参加してきたので、最終的には何人の宴会になったのか分からない。

 しかし、楽しかったのは覚えていたので。翌朝は後片付けを手伝い、その時財布にあった全てのお金を置いていった。


「あの量の木箱を運ぶ馬車が、町の外に並んどるのは壮観だったわ」

「見て来たのか?」

「そらな、あんだけ苦労したやで。最後まで見たいやろ」


 そう言うビンスの顔は穏やかだった。

 宴会の夜から、少しだけ兄の態度が軟化している事は聞いていたが。どうやらこの様子だと、そのまま良い変化は続いているようだ。


 それほど私物もない荷造りが終われば、数日を過ごした部屋があっという間に来た時と同じ光景に戻った。 


「じゃあ馬車まで行こうか」

「せやな」


 二人で屋敷の中を歩いて行く。

 無言で歩くと驚くほど長く感じる廊下を超えて、屋敷の正門に出ると、デウスとスゥさんが待っていた。

 とりあえずビンスと一緒に通り過ぎてみる。


「おい」

「はい」


 普通に怒られた。


「お前ら、俺をおちょくるとはいい度胸だなぁ?」

「許して―やあんちゃん。カワイイ弟のする事やん」

「やん」

「ぶふふっ!」

「笑ってんじゃねぇ、ユイ!」


 すっかり気安い関係になった俺たちは。馬車が待つ街はずれまで、連れたって歩いて行くことにした。

 体質の問題は少ししか改善していない。しかし、困難を共に乗り越えたことで少しだけ心に余裕が出来たデウスは。良い感じで力が抜けているように感じる。

 これなら無茶なことはしないだろう。


「お前には一応感謝している」

「俺?何の感謝で?」

「陛下の依頼に参加させてくれた事と、頸力の指標をくれたことにだ」


 その発言に、ビンスとスゥさんがドン引きした目でデウスを見た。


「何だその目はっ!?違うぞ?アレが好ましくなったわけじゃないからな!?」

「そ、そうでしゅよね!あ、あ安心しました!」

「あっぶなー、一瞬兄ちゃんの頭どついたらええかと考えてしもうたで」

「お前…………」


 双子の弟にジットリとした目で文句を言おうとした口を、デウスは一度つぐんで俺に向き直った。


「アホは置いておいて。お前のおかげで俺にもそれなりの拍が付いた。これなら今日明日に後継者候補から外れることは無いだろう」

「まあ、陛下直々の依頼をこなしているからな」

「この成果で出来た時間で、俺は必ず身体の問題に決着をつける」

「成程。だから俺に感謝するのね」

「そうだ」


 俺とデウスの会話を黙って聞いていた二人も、彼の宣言に嬉しそうな顔をしていた。

 彼らにとっては今のデウスこそが慣れ親しんだ兄貴分のものなのだろう。


 そうしているうちに町はずれに到着し。整列する馬車の一団が俺たちを出迎えた。


 隊長とも合流し、ホアンさんにも別れの挨拶を送り合った俺は。早速、馬車へと乗り込む。


「さよーならー!」

「偶には顔を出しても良いぞー!」

「次あったら俺の修行に付き合ってもらう!」


 町の皆さんに手を振られながら、俺はベラトレの町を出立した。

 見える限りは手を振り続けたが、それに対抗するようにビンスたちも手を振っていたので、俺はしばらく窓から上半身を出し続ける羽目になった。


 今度会ったら覚えてろよ。

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