第4話

「実は、黒幕は桜なんだ」

「どうゆうことなの?」

「いきなり、言われてもわからないよね」

「うん」


「桜って、実は小学三年生の女の子で、時間ループの能力を奪ったんだよ。てんしって言う人からね」

「奪った?奪ったって感じはしないけれど」

「今の時間軸のてんしではないよ。最初の時間軸のてんしさ。

そこから、桜は若返る能力を手に入れた。

桜は本当は無属性で、炎属性じゃない」


 無属性なら、辻褄が合わない。

 目の前で炎の魔法を使っていた。


「炎属性だよ。目の前で見た」

「あれは、多分、誰か炎属性の魔法使いがいて、そいつから奪った魔法だね。

おそらく、別の時間軸で奪っているんだろう」

「桜が無属性とか、時間ループ能力者とか、黒幕とか信じられない」

「それは本当の桜を知らなくて、表向きの桜しか見ていないから、こんなことが言えるのさ。

遅かれ、早かれ、桜は自分の心、闇と病みに向き合わなきゃいけなくなる。

蛇黒神なんて桜が作り出した存在なのに、正義の味方気取りしちゃってさ」

「ごめん。ヒカリ兄ちゃんの言いたいことがわからない」

「俺は光属性、真実を透視できる能力を持っていてね、みんなの真実を見せてもらった。もちろん、弟である君にも、そしてばか親とやらにも」

「ばか親って、僕たちを愛してくれた両親だよ」


 僕は、実の両親に愛されて育った記憶がある。


「高校生でありながら、俺たちを妊娠して、在学中は育児放棄。その代わり、高校卒業後は愛情を注いでくれたらしいけど。

この様子だと、育児放棄された時の記憶がないみたいだね」


 ない。いつの話をしているんだ?

 確かに、高校生で僕とヒカリ兄ちゃんを産んだことは聞かされていたけれど、

 その様子がどうだったかまでは聞かされていない。


「だけど、産んだ以上、育てないわけにはいかなくなって、両親は大学進学を諦めざるを得なくなった。

かなりの成績優秀者で、魔法だって上位に上るはずだが」

「魔法・・・?」

「そうだ。俺たちの両親は、魔法の才能を秘めて、魔法専門の学科に進学して、魔法学校の先生を目指していたらしい。

ママが小学の先生、パパが中学の先生かな。子供は好きなことは共通していたみたいだ。

だけど、大学進学を諦め、一般就職を目指すこととなった。

だから、俺たちは帰ってはいけない。両親は遊びたいし、まだやりたいことがある。まだ20代なんだしさ」

「僕は・・・」

 僕の出す答えは決まっていた。

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