〜桜和 椿(49)〜
暑さも、疲労も関係なく考え続けた。心助さんのお店を出てからずっとここで考えていた。もう、とっくに答えは出ているけれど、まだそれから逃げようと踠いている自分がいる。本当に往生際が悪い。ここに来てからずっと同じ思考をぐるぐるとしているせいか、もう何が何だか分からなくなってきた。
「椿さん・・・!」
そんな私の所にあなたはまた突然現れた。初めて会ったあの日のように________________。
白君から情報をもらってすぐに僕らはあの場所に向かった。椿さんに初めてあったあの日、初めて話して関わり始めることになった場所。その場所に彼女はいた。
「椿さん・・・!」
名前を呼ばれて顔を上げると、こっちに向かってきている福寿さんとその後ろには薬立さんと柳さんまでいた。
「福寿さん・・・。薬立さん達も、なんで・・・」
「椿さんを探してたんだよ。家出したって聞いて・・・」
「あぁ・・・。なるほど・・・」
「桜和さん!!」
「うわっ!ちょっ、薬立さん?!」
駆け寄ってきてすぐ、薬立さんが飛び付いてきた。
「大丈夫?!どこも怪我とかしてない?!」
「大丈夫だよ!それよりなんで、薬立さんまで・・・」
「昨日から連絡しても返ってこないし、見てもいないみたいだし、なんか嫌な予感がして心助さんの所行ったら私も桜和さんのこと聞いて探すのに着いてきたの!」
「あぁ。電源切ってたから、ごめんね。心配かけて」
「ううん。怪我とかしてないならいいよ!よかったぁ・・」
自分が思っていた以上に色んな人に心配をかけていたんだなと思うと、今更申し訳なさが湧いてくる。皆心配をしてここまで探しに来てくれた事を思うと人に恵まれていると感じられる。私はこの人たちの何を返せるだろうか・・・・
「椿さん・・・」
「はい・・・」
「この先どうするの・・・?」
「・・!」
「・・・・。」
「・・・・・。」
私も昨日からずっと考えた。この先、私はどうするのか・・・。昨日から、いや、おそらく十年くらい抱えていた問題にどう答えを出せばいいのかと。福寿さんも薬立さん達も私の事情を知っているから、家に帰ろう。と無理やり連れ戻したりはしないのだろう。優しい人達だから。だからこそ、私が答えを出さない限りみんなは何にも出来ないのだろう。それでも、私の口から出た答えはこれしかなかった。
「どうしたらいいのか・・・。分からないです・・・」
「桜和さん・・・」
「そうか・・・」
私の答えを二人は責めなかった。否定する事なく、ただ寄り添ってくれた。でも、このあとどうすればいいか分からず言葉が出せないでいた。
「本当にそうか?」
「え・・?」
「柳さん?」
「本当にどうすればいいのか分からないのか?」
座っている私を見下ろすようにして、目の前に立った柳さんが私に問いかけた。
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