歩きたいわ
何年も前から訪れたかったカフェで
この文を書いている
駅からの道のりが遠かった
去年の今頃だったら歩けなかったなぁと思った
今日は比較的
暑さがやわらいでいて
日傘は要るけれど
首元を冷やすものは要らないくらい
その気温のおかげなのか
土地柄なのか
わからないけれど
蝉の声が大きい。
住んでいるところも緑は多い
でも、蝉の声が細いのだ
私の故郷は
蝉の声が、大きくて、激しかった。
今きこえる蝉の声は
それに似ていて
歩きながら
泣きそうになっていた
カフェの涼しい席に座った今も
泣きそうだ
ここまで
私はここまで
歩いて来られるようになった
求める景色を探したり
今日みたいに偶然
心を打つものに出会ったり
ああ
私
まだ歩きたいわ。
栞 三波 雪 @melodyflag5
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