第16話 密会Part3
前に引き続き、喫茶【フォーミュラー】での密会だよ。正だよ。
2人の熱も冷めた頃には、せっかくのコーヒーもすっかり冷めてしまっていた。
「はぁ、アンタも意外に強情よね。分かったわ、竜也君と友達なのは許してあげる。でも、くれぐれもBLなんて展開にはならないように、そんな展開になったら、私は容赦なく、私の信者達にアンタを襲わせるわ。」
白金さんらしい物言いだが、物騒にも程がある。またこの人の一声で本当に実現するだろうし、脅しとしてはこれ以上ない脅しである。
「分かってますよ。ってか俺に男色の気は無いですから。」
「分かってないわねぇ、誰だって最初はノンケなの。そこから段々と目覚めていくんだから。私だってそうだったの。」
遠い目をする白金さん。妙に説得力があるが、流石にBLに目覚めたりはしない。してたまるか。
「そうだ。いっそのこと、アンタが愛のキューピットになりなさいよ。美鈴ちゃんと竜也君をくっつけるのよ。ビタっと。」
「えぇ嫌ですよ。それにビタっとて瞬間接着剤じゃないんですから。」
何が悲しくて自分の嫁にしようとしていた女と、その女のハートを盗んだ不良の恋路を手伝わねばならんのだ。そんなのは絶対に嫌だ。
「あらっ、逆らうの?良いの?ウチの生徒の80%程がアナタの敵になるわよ。」
微笑みを浮かべながらそんなことを言う白金さん。80%というのが妙にリアルな数字で怖い。ちゃんと少なからず自分のアンチがいることも把握してるんだなこの人。本当に末恐ろしいよ。
「で、でもぉ。」
「あー、何あんた?逆らうの?言っておくけどアンタが悪いのよ。私の推しの空間に異物として入ってきたアンタが。」
「い、異物って、あんまりですよ。」
結構な物言いに、また反旗を翻そうかと思ったけど、カウンターのマスターの目がギラリと光ったのが見え、ここを出禁になりたくない僕はグッと堪えた。
「ふぅーーー、分かりました出来る範囲で頑張ります。」
「あら?急に聞き分けよくなったわね。でも懸命な判断よ。オッホホホ♪」
ここぞとばかりにお嬢様笑いを披露する白金さん。そういえばお嬢様設定だったなこの人。奇行が目立ち過ぎて設定死んでやん。
「でも、具体的に何すれば良いんですか?」
「私に良い考えがある。まぁ、大船に乗ったつもりでドーンと構えておきなさい♪」
ドヤ顔かます白金さんですが、メチャクチャ嫌な予感しかしない。おそらくその大船は泥舟で盛大に沈没するのだろう。
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