第15話 密会part2

「はぁ、気が重い。」


まさか今度は俺が放課後に喫茶【フォーミュラー】に呼び出されるとは思いもしなかった。はい、佐伯 正だよ。

【フォーミュラー】は俺の憩いの場所なのに、今からのことを思うと憂鬱でしかない。


"カンカラカーン"


ベルの音とともに、俺が店内に入ると、この間と同じ席、同じポジションに見覚えのある黒い三つ編みの後ろ姿が見えた。

あー、なんか怒りの赤いオーラが見えるんだよな。帰ろうかな。

俺が、そんなたわけたことを考えていると、それを察知したのか、三つ編みの少女が俺の方を振り向いて、不気味なぐらいの満面の笑みを見せてきた。

これは流石にガクブルものである。


「早く座りなさいよ。」


「・・・はい。」


怖い怖い、笑顔なのに怒っているのが丸分かりである。俺は大人しく、この間と同じ様にテーブルを挟んで彼女向かい側に座った。

もう言うまでも無いが、俺を呼び出したのは変装した白金さんであり、俺が席に着くと共に真顔になったので、怖くてたまらない。

そんな俺を知ってか知らずか、推し姫様はゆっくりと口を開いた。


「ねぇ、どういうつもり?どういうつもりなのよ?」


「と、おっしゃいますと?」


「言わないと分からない?」


分からない、分かるはずもない。このエキセントリックな人の思考パターンが分かるようになったらエスパーである。


「はぁ、じゃあ言わせてもらうけどね。私の推しにイチイチ介入するなよ。コラッ。」


「はい?」


えっ、何これ?俺は謝らないといけないのか?


「幼なじみだったり、友達になったり、ふざけてるの?正直、目障りなのよアナタ。」


・・・散々な言われようである。幼なじみは生まれつきからだし、友達だって成りたくてなったわけじゃない・・・あれ?


「ど、どうして俺が竜也と友だちになったの知ってるんですか?」


竜也と友達になったのは今日の昼休み。まだ誰にも話して無いし、普通なら知られるわけはない。

ここで白金さんから今年一番の爆弾発言。しかと聞け。


「簡単な話よ。アンタの学生服の上着の第二ボタンに盗聴器仕掛けてるから。」


「う、うわぁ!!」


いつの間にだよ!!思わず叫んじゃったよ!!


「な、何考えてるんですか!?犯罪ですよこれ!!」


「推しのためなら軽犯罪を犯すことも厭わない、それが私よ。」


いやいやドヤ顔で言うことじゃない。

これでもし、俺がこのことに気が付かずに、高校を卒業して、俺の制服の第二ボタンを俺のことを好いている女子にあげてしまっていたら大変なこと・・・。


「あっ、ないない。アンタの第二ボタンなんか欲しがる子なんて、銀河系探しても居ないから。」


「心を読んだ挙げ句に、酷い言いよう!!」


このあと、白金さんとの口喧嘩に発展し、マスターにきつく注意されてしまったのは言うまでも無い。


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