第9話僕はそうする
自分でも自覚していた。”なんで、これだけ沢山の人がいて、実を結ばないんだろうか?”
譲くんは福祉施設で非常勤の仕事に就いていた。なぜか新人で入ってくるのが綺麗な人ばかり。
男性スタッフの目の輝きが変わったことを譲くんは察知した。
繭子さんはアイドル顔をしたちょっと色気もある魅力的な女性。
ジョンは「またいい娘が入ってきたな」と冷やかす
ポールは「譲、お前女難だな」
ジョージは「今度はしくじるなよ」
リンゴは「男らしさで勝負しろ」
相変わらず言いたい放題だ。
繭子さんの歓迎会が居酒屋で開かれる。
譲くんはたまたま彼女の隣りに座ってる。何を離せばよいのかわからない梅サワーはうまい。
繭子さんはハイボールを飲んでる。
譲くんは酒を飲むとすぐ眠くなる。梅サワー一杯でまた眠気がしてきた。
カックンと首をうなだれると繭子さんが「大東さん大丈夫?」と声をかけてきた。
「大丈夫です。酒は美味しいですねえ……」
「私もお酒は大好き」
「自分も好きは好きなんですが、すぐ眠くなるんです」
譲くんは彼女を真正面から見てあまりの美しさに驚く。酒が入ってなければとっくに逃げ出してる。
どうも今日は眠さより酔いの方が回ってきた。
譲くんは周りの騒音が消えて、繭子さんと2人だった。こんなにそばに居るのに、手は届かないんだな。
だんだん繭子さんが透けて見えてきた。
ビートルズの4人はファイティングポーズを取ってる。
無理だよ。彼女も……多分ね……。
2次会のカラオケBOXで繭子さんは中島美嘉の「雪の華」で美声を披露した。
益々透けて見える。
譲くんは自分への当てつけでミスチルの「手紙」を歌う。
過ぎ去りしあなたへ……今でも誰かの胸に眠ってるんだろう……。
俺も惚れっぽいね。
ビートルズの4人はお手上げだった。
過ぎ去りしもくそもそれほど時間は経ってない。
俺はどうしたいんだ?まだどういう女性かわからないのに勝手に完結させてる。
彼女はとても楽しそうに歌ってる。
またfinaleの風が吹くか……。因果やね。
時計を見ると夜11時。よく起きていられたなあ……。2次会のカラオケBOXは大抵ノックアウト状態のはずなのに……。
夜中12時に散開。さすがに外は寒い。
譲くんはかなり酔っていた。
繭子さんは北条主任と話しながら帰っていく……。
また僕の青い鳥は飛んで行ってしまった……
ひとりぼっちの僕を残して
さすらいの風が吹く
僕は一人相撲でアカデミー主演男優賞を気取る
2023(R5)2/2(木)
ショートストーリー @mrxyz1984koji
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