第5話 時の魔法

(ここを去ろう。)

愛したシャルルが……ゆっくりと息を吹き返した。


魔王様は…シャルルにキスをした。そして全てを悟ったシャルルは涙を流した。


お互い好き同士なのに、、、

たった世界が違うだけで……

別れが来るなんて。





いや、最初から土台無理な事だったんだ。

魔王様は、この時女王様や精霊界をも

時を戻した事に気が付かなかったのだ。



平和が戻った精霊界にシャルルの心だけを、奪ってしまった魔王様は…シャルルを愛した証拠として


花で作った王冠を

プレゼントしたのであった。




シャルルは…魔王様を見ながらも

首を傾げる。



立ち去ろうとして

魔界への扉を、手をかざして

魔王は傷付いた心のまま、魔界へと帰って行った。




『シャルル〜。』

シャルルが振り向くと、王子様が

迎えに来たのだった。


2人は結婚を誓い合った仲だったのだが、シャルルは

どうしても思い出したくても

思い出せない感情が気になっていた。




何かしらね?


シャルルが水面を見ると……

花の王冠に気が付く。王子様にシャルルは問うと、


王子様では無い事がわかった。



じゃあ、誰が??

思い出そうとすればするほどに

頭が混乱してくる。



それも、そのはずだ。


魔王様は……ビディーの出現に寄って起きた事柄とを消してしまったのだった。




『シャルル、さぁ行こう。』


首を傾げながらも

『そう……ね?うん。』


王子様とシャルルは…

手を取り合いながらも、誓いをするのであった。




だが……時々、シャルルの心が

でときめいている。


その相手が誰なのか?考えると、

またしても

頭痛がするのだったが……。


何か?忘れてはいけない事だけは

覚えている。




そして……あの何処と無く寂しそうな、後ろ姿。


あれは……確か……




あれは……。

銀髪を差し出していたわ?




誰だろう?

シャルルの記憶が消えている事に1人納得する魔王様だった。



魔界へ帰った魔王様は…



そう自分に誓いを立てて全て消し去ろうと杖を振りかざした。




『時の魔法よ。私に最後のチャンスを与えよ!』





サァーーッと広がるオーロラに

身を包む魔王様は……



涙を流しながら。

魔界全てを消し去ったのであった。

そう……



自分魔王の存在すらも……



跡形もなく、消し去る事で……

美しき魔王様は

シャルルを忘れる為に……



時を戻す魔法を限界まで使った魔王様の身体は…ボロボロになった。




杖も王冠も要らぬ。

愛だけが……欲しかった。


魔王様の一筋の涙は……シャルルに届く事無く、




全てが暗闇に消えていった。



オーロラだけが、見ていた。

シャルルと魔王の愛は……?





来世、魔王様は…とある国の王子に生まれ変わり、

婚姻を約束した王女様が誕生したのだが、、、




名前は、シャルローと言った。




誓いをした2人は

来世で記憶を取り戻しつつも、

幸せに暮らしたのであった。




END

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時の魔法の魔王 たから聖 @08061012

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