許嫁がキツくあたってきて心身共にボロボロなので婚約解除したら泣いて謝ってきたがよりを戻す気は無い

みことやけん

もう遅いよ

高校2年生の僕、新島亮にはとっても美人で明るい許嫁がいる。名前は佐羽心音。僕の幼なじみでもある


僕と心音が許嫁になったきっかけは父さんが親会社の社長さんと仕事の付き合いで仲良くなったのがきっかけだ。将来僕がその親会社の社長というポストに就けるという内容で、向こうの娘さんと婚約関係になった。


初めて向こうの娘さんと会った時には無愛想で話しかけても返事が返ってくることは無かった。しかし日に日に明るく接している内に仲良くなり気付けば両想いだったのだが、今ではとても両想いとは言えず――――


「ねぇ」


「な、なにかな心音」


「は?名前で呼ぶなよ気持ち悪いそこ通るから邪魔なんだけど」


「ご、ごめんなさい名前呼んじゃってごめんなさいすぐどきます」


「はあ、きっも。なんでこんな陰キャが私の許嫁なわけ?どうせならイケメンな優馬君がよかったなー」


「・・・・・・」


はぁ。僕は本当にここ・・・・佐羽さんの許嫁に相応しいのかな?佐羽さんも僕が許嫁ですごい嫌がっているし、、、


~翌日~


僕は昨日のことをずっと引きずったまま登校した。僕は佐羽さんのことが好きだけど向こうはそうじゃないかもしれない。なら何故好きでもない男と婚約関係を続けているんだ?立場上相手が上のはずなのに・・・・・


~お昼休み~


僕は佐羽さんをお昼ご飯にいつも誘っている。高校に入ってからは一度も相手にされていないけれど・・・・・


「ねぇ佐羽さん。一緒にお昼ご飯食べない?ほら僕達許嫁だし・・・」


「きも、毎日毎日誘ってくるなよ。それに許嫁は仕方なくだし。許嫁だからってなんでも許されると思うなよ」


「・・・・・・」


「あ、心音~?一緒にお昼食べよ~?」


「うんいいよ!・・・・・・じゃ、そういうことだから。あと最近うざすぎるからもう話しかけてこないでね迷惑だから」


「・・・・・うん」


~放課後~


僕は屋上に呼び出されていた。

僕を呼び出したのは磯貝優馬君。成績優秀、スポーツ万能、顔もこの学校で1番のイケメンという二つ名に恥じないイケメンぶりで、さらには会社の重役の御曹司と、完璧な人間だ。そんな優馬君になぜ僕が呼び出されたのだろうか


「ぼ、僕に何か用かな?優馬君」


「ああ来てくれてありがとう単刀直入で申し訳ないが心音と婚約関係というのは本当かい?もし本当なら婚約を解消してくれないか?」



そう言って優馬君は深く頭を下げてきた。


「え、えっと・・・・」


僕が困惑していると優馬君は続けて

「俺は心音のことが本気で好きなんだ。まだ告白はしていないがいずれするつもりだ。頼む」


「・・・・・返事を今することは出来ません。この婚約は僕の父と佐羽さんのお父さんとの間の取り決めです。・・・・・・少しだけ考えさせて下さい。必ず何かしら答えは出すつもりです。」


「・・・・・わかった。いい返事を期待しているよ」


・・・・・・僕はどうすればいいんだ

僕は佐羽さんが好きだ・・・・・好き・・・・・なはずだ。なのになんだこの気持ちは、とてもモヤモヤする。


「あ、忘れ物思い出した」


僕は教室に忘れ物を取りに向かった。


「~~~~~~でさ~」


「あはははバカみたい」


教室で話し声が聞こえる。しかも何か聞き覚えのある声の気がする


「静かに空気に~」


抜き足差し足、静かに教室に歩いていくと――――


「はぁ~私の将来の婚約者があの陰キャだなんてほんとあり得ない。あんな陰キャなんかとなんてさっさと婚約解消したいわー」


「!」


「いやーまじ何で心音の婚約者があの陰キャなんだろうねーwwあんな陰キャなんてさっさと婚約解消すりゃ良いのに~w」


「いや~私も解消したいけどさ、あいつが私のことが好き好きすぎてさ~解消したらしたで泣きついてきそうでさ~wぷっ、想像したら笑えてきちゃうわw」


「あはは~ウケる~!」


「・・・・・・・・」


気づいた時には周りなんて気にせず大粒の涙を流しながら帰路についていた。






~1週間後~自室


「亮~?あなたが部屋に閉じこもってからもう1週間よ?何も言わずにだんまりじゃ、お母さん何もたすけてあげられないのよ」


「・・・・・・・・」


「そんなんじゃ心音ちゃんにも見限られちゃうわよ?」


「・・・・・・・だ」


「え?何?」


「もういいんだよほっといてくれよ!!母さんは僕なんかのことちっとも分かっていないくせに!!」


「っ!・・・・・そうねごめんなさい・・・・でもね母さんは亮が本気で心配なのよ・・・・話したくなったらいつでも言ってね。」


「・・・・・・・」



そう言って母さんは階段を降りていった。ごめんなさい母さん




「コンコン、亮くん?」


え?誰だ?とても綺麗な声が僕を呼んでいる。母さんでもない、佐羽さんが来てくれる訳もない。じゃあ?僕は恐る恐るドアを開けた

すると――


「やぁやぁ佐羽くん。君、もう1週間も休んでいるじゃないか?お見舞いにーーと思ったけど体は大丈夫そうだね。一応ゼリーとかも買ってきたんだけど。」


「え、あ、あの」


「あとやっぱり寝込んだりしてて暇なのかなーとか考えてレンタルビデオとかも借りてきたり――」


「あの!・・・・な、なんで来てくれたの?翠さん」


永山翠さん.この高校で1番の美女は?と聞かれたら佐羽さんと同じくらい名前が挙がる美女だ。翠さんとは1年生の時に知り合った。知り合ったきっかけは、同じ委員会の仕事で困っていた翠さんを助けたことがきっかけだった。その時にはまだ翠さんは美女とは呼ばれてはおらず、丸眼鏡に長い髪を下ろした感じだった。仕事を助けたことで仲良くなり、休み時間はいつも話す様になった。しかし、1年生も終わりと言うときに突然好きな人が出来たと告げられ、疎遠になっていった。それからだ。翠さんが眼鏡を外し、髪をショートに切りそろえ、色んな人と交流を持つようになり、気付けば誰もが認める美女になっていった


「何でって、亮くんが心配だからに決まっているじゃん!」


そう言って翠さんはとても綺麗な笑顔を見せてきた。それに少しドキッとしてしまった。


「で?どうしたの?体は問題なさそうだけど?悩みがあるなら言ってよね」


「・・・・・・・・・」


「だんまりか。でもね、人に悩みを吐き出したほうが絶対楽だよ私なら何でも受け止めてあげるから。ね?」


そして翠さんは僕を抱きしめてくれた。僕は自然と涙が溢れ出てきた。まるで翠さんが女神なのではないかと錯覚してしまった。僕は思いの丈を全て語った。婚約者の佐羽さんが本気で好きだったこと優馬君に婚約を解消してくれと頼まれたことそして・・・・佐羽の言葉に深く傷ついて学校を休んでいたこと。全て吐き出した。すると


「そうか、辛かったねでももう大丈夫。何故なら私が君の味方になったから。これで今までは君ひとりぼっちだったけど、味方が出来たよ。とても心強い味方が」


翠さんは僕の頭を撫でてくれた。誰かに頭を撫でて貰うってとても幸せなことなんだな。いや、翠さんだから幸せなんだな。僕はしばらく泣き続けたが翠さんはその間ずっと撫でてくれていた。






僕の涙が枯れ始めた時翠さんが口を開いた。

「ねえ?亮くんってまだあの婚約者のことが好きなの?」


「・・・・・・・いや、もう好きじゃないよ」


「ならさ、婚約関係を解消したらどうかな?好きでもないのに婚約関係を続ける必要無くない?」


「それが、その、この婚約は父さん達が決めた婚約で僕の将来に大きく関わっているし・・・・両親にも

期待されていて・・・・なかなか言い出せる感じじゃないんだ」


「でもさ?その婚約って亮くんの親が亮くんのためを思ってしてくれたんじゃないの?ちゃんと亮くんから話せば解消してくれるんじゃないの?それに、亮くんのご両親はとても亮くんを心配してたよ?話すだけでも話してみたらどう?私も傍にいるからさ!」


翠さんはとても魅力的な笑顔を浮かべた。


ああ、そんな笑顔を僕に向けてくれる翠さんがとても眩しくなる。

もう僕は翠さんへの気持ちが自覚できるほど膨れ上がってきていた。







「っ!亮!」


「母さん・・・・・」


「心配したのよ!翠ちゃんもありがとう。亮?何かあったならお母さんに言ってね?いつでも相談にのるから」


「・・・・・・・・」


「大丈夫だよ亮くん私が隣にいるよ」


「・・・・・うんありがとう」


それから僕は母さんに翠さんに話したことと婚約を解消してほしいという旨を伝えた。


「・・・・・まさか心音ちゃんがそんな人間だったなんて・・・・ごめんなさいね母さん気付けなくて・・わかったわ婚約の解消の件はパパにしっかりと伝えておくから。」


「うんありがとう」


「翠ちゃんもごめんなさいね。こんな遅い時間まで居てもらって」


「いえいえそんな大丈夫ですよ」


「こちら少ないけどお菓子の詰め合わせ持って帰ってちょうだい」


「いえいえそんな」


「いいえお礼をしないとこちらの気が済まないわ」


「あーじゃあお礼は亮くんに送っていってもらうでどうですか?」


「うん、じゃあ僕が送っていくよ母さんのお菓子の詰め合わせはせんべいしか入ってないもんね」


「なによおせんべいはおいしいわよ?」


「あははそうだね。じゃあ翠さん送っていくよ」


「うんありがとう」





~翠さんを送る途中~


「翠さん本当にありがとう翠さんがいなかったら僕はもう立ち直れなかったかもしれない」


「ううん、こちらこそ私は亮くんの相談にのっただけだからさそれに悪いのはあの元婚約者だから」


「うん。それもそうだね」


翠さんと話していると気持ちがポカポカ温かくなる。翠さんと話しているだけで僕の翠さんへの気持ちは高まっていく。でも・・・・翠さんには好きな人がいるんだよな・・


「あ、あの、さ、亮くんって今婚約者が居なくなったらフリーってことだ、よね?」


「え?ああうんそうだね。はは」


「っ!そうだよね・・・」



夕暮れの太陽に照らされながら翠さんはいつもの綺麗な笑顔ではなくとてもかわいらしい笑顔で―――


「新島亮くん!大好き!私と付き合って下さい!」


「!!」


え?え?本当に?翠さんが?え?好きな人が?え?僕?え?え?


「亮くんはわからなかったかもしれないけど私、最初に亮くんが助けてくれた辺りから亮くんを意識していたんだよ?でも2年生になるちょっと前に私の気持ちを伝えるためには私が努力しなきゃなと思ってさ・・・急に離れてごめんね」


「い、いや別にだ、だい、大丈夫だたよ」


「そのお返事の方は・・・・?」


「は、は、はひ!僕みょ!翠さんがす、す、好きです!」


「~~~~///嬉しい!ありがとうこれで私達恋人だね!2年生になるちょっと前から話せてなかったものね!これからいっぱいお話ししようね!」


「もちろん!」


温かい。相手が自分のことを好きでいてくれるそれを言葉にしてくれることはとても幸せなんだなと実感した






~翌週~

「行ってきまーす」


「ね、ねぇちょっと」


僕が登校拒否になってから初めての登校日に何故か婚約解消したはずの佐羽さんが家の前にいた。だけど僕にとって佐羽さんはもう関係ない人だ無視して行こうとすると


「ねぇちょっと無視しないでって」


「・・・・・・・何?」


「婚約解消って何?何の冗談よ」


「冗談じゃないけど?僕は本気で解消を申し出たんだよ?」


「は、はぁ?何でよ貴方は私のことを好きでしょ?」


「うん・・・・・好きだったよ」


「でしょ?なら・・・・好きだった?ちょ、ちょっと待ってよ。だったってどういう事?もしかしてもう好きじゃないってこと?」


「うんもう好きじゃないよ。佐羽さんも大嫌いな僕と婚約解消したんだからもう僕と関係を持たなくてよくなったんだよ。じゃあね」


「ね、ねぇ、ほ、ほんとに?ほんとにいいの?これからは一切関わりがなくなるんだよ?ほら、今ならまだ間に合うよ?解消をまだ撤回できるよ?だからさ――」


そう言って佐羽さんは僕に触れようとしてきたが


「触らないでくれよ」


「え?」


僕は佐羽さんから距離とる


「今の僕は佐羽さんなんか好きじゃないよむしろ大嫌いだ。だから近寄らないでくれ」


「い、嫌だよ!私亮が大好きなの!!今まで冷たくしちゃってたけどそれさ照れ隠しなの!!名前で呼ばれるのも恥ずかしくて冷静でいられなくなっちゃうからなの!!ぐすっお、お願い!!あと一回だけチャンスをちょうだいそしたら私、亮好みの良い彼女になるからお願い!!お願い・・します・・・うっうう」


「聞こえなかった?大嫌いだ2度と近寄らないでくれ」


「そんなぁお願い!!私の体好きにして良いから!!大嫌いなままでも良いから私をもう一度彼女にしてえ!!うっううぐすっ」


「無理だよ、だって僕もう彼女いるからさ。最高の彼女が」


「え・・・・ぐすっ・・・・だ、誰なの」


「永山翠さん。翠さんは僕の事を本気ですきでいてくれる。常に身近で愛を伝えてくれる。支えてくれる。そんな翠さんを僕も本気で支えたいと思ってる。もうそろそろ行くね学校遅れちゃうから」


そうして僕は足早に登校を急いだ











~心音~


私が悪かったんだ。私が恥ずかしいがあまり亮に冷たい態度をとったのが悪かったんだ。友達にも亮に変な目を向けさせないようにあえて亮のありもしない悪口を言ったことも全部私が悪かったんだ。もう亮の彼女じゃない婚約者じゃないもう亮を支えてあげられない



私の知らないところで亮が愛情をあの女に注ぐ私の知らないところで亮があの女に愛情を注がれる。



・・・・嫌だ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


亮の隣にいるのは私じゃなきゃいけないのよ


「ふふ、待っててね亮❤」


私がその女から助けてあげるからね



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許嫁がキツくあたってきて心身共にボロボロなので婚約解除したら泣いて謝ってきたがよりを戻す気は無い みことやけん @VAMOSmikotoyaken

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