第7話 ソウグウ/デート中に塚原先輩とばったり

○街中・夕方

   #後日。ふたりでデートに出かけている。


七咲M

「それから少しして。休みの日に先輩とお出かけをした。」


   #ふたりで歩いてる足音。

   #七咲、ちょっとテンション低いです。


七咲

「……ええ、ラーメン、おいしかったですね。」

「こんな有名店が輝日東に出店するなんて。」

「最近支店を増やしてるんですか。知りませんでした。」


「……他の支店も、ですか。ええ、機会があれば行くのもいいかもしれませんね。」

「…………」

「そ、そんなことないですよ。ちゃんと楽しいですけど……」


「そこまで浮かない顔してました? 自分では、そんなつもりないんですけど……」


   #遠くから見つけた響が声をかけてくる。


「あれ、七咲? それにキミも。」


七咲

「えっ……塚原先輩!?」


   #やってきた響の足音止まり、3人で立ち話。


「やっぱりそうだ。七咲とは先週あったばかりよね。キミとは……卒業以来か。」

「え? この前会った? 《水着姿が最高》……?」


七咲

「あ、あのっ、私が話したんです!」

「塚原先輩が見学に来て、しかも泳いだんですよって!」


「なに、七咲そんなことまで話してるの?」

「もう、すっかり『そういう感じ』ね。今日もふたりでデートみたいだし。」


七咲

「(気まずそうに)ええ、まぁ……」


「(何かを察してつぶやく)この前からなんか暗い顔してると思ったら、そういうことか。」


七咲

「えっ?」


「いいかしら? 君にはしっかりしてもらわないと。」


七咲

「え? あの、塚原先輩……?」


「彼女を悲しませるなんていけないわよ。」

「あなたは男子で、年上なんだから。」

「悲しませちゃダメじゃない。何をしたか知らないけど。」


七咲

「え……あの、違うんです。私が勝手に……」


「でしょうね。」


七咲

「ふぇっ!?」


「七咲。部長であるあなたが、あんなにあからさまに何かありました~って顔してたら、他の部員が心配するでしょう?」


七咲

「あの……そんなに顔に出てましたか?」


「ばっちり。」


七咲

「そんな……私、みんなの前では普通に普通にって振る舞ってたつもりだったのに……」


「まぁ、後輩達はごまかせてたみたいだけど。伊達にあなたの先輩をしていないわ。」


七咲

「塚原先輩……」


「それにしても、一年の時はあんなにクールだった七咲が、こんな風になっちゃうなんてね。キミって意外と罪な男?」

「……あまり褒めてないからそんなにうれしそうにしないで。」


「とにかく、七咲のことよろしく頼むわね。」

「しっかりしてるように見えるけど、支えてくれる人が必要な子だから。」


七咲

「…………」


「《まかせてください》お、言ったわね? 期待してるわよ。」


七咲

「先輩……」


「それじゃあこれで。またね、ふたりとも。」


七咲

「はい、ありがとうございました!」



《第8話へ続く》


★mimicle(ミミクル)にて配信中★

『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.4 七咲逢編』(CV・ゆかな、CV・浅川悠)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る