第6話 シタタル/服が濡れてしまった…拭かないと

○輝日東高校・校内・更衣室・午前中


七咲

「ふぅ……なんとか、やりすごせました……」

「先輩も大丈夫です……えっ!?」

「先輩、どうして服が濡れて……」


「あっ! プールから上がったままの私が抱きついちゃったから……ですね。」

「ごめんなさい、今すぐふきます!」

「いいえ、遠慮しないでください。そのままだと風邪をひいてしまいます。」


   #タオルで服をふく、衣擦れの音。


「んしょ、んしょ……濡れて気持ち悪いですよね、ごめんなさい。」

「上半身は、これで……OKですね。」

「それじゃズボンも……《自分でやる?》。」


「ですから遠慮しないでください。私のせいなんですから。」

「あ~、ズボンも濡れちゃいましたね……」

「え? どうして背を向けるんですか? それじゃ拭けません。」


「《困る》って、濡れて困ってるからいま拭いてるんですよ?」

「ちゃんとこっち向いてください。ほら、腰のあたりなんか特に濡れて……」

「……先輩、その、腰のあたり……(小声で)ふくらんで……」


「し、仕方ないです! 生理現象ですから!(恥ずかしくて声がどんどん小さくなる)別に、恥ずかしがること、なんて……」


「(少しすねて)……やっぱり、塚原先輩みたいに大人っぽい人のほうが興奮するんですね。」

「そうですよね、私じゃ、やっぱり……」


   #ここから七咲、意図的にそっけない感じに。


七咲

「……いえ、なんでもありません。」

「もう濡れてるところはありませんよね。」

「それじゃ、私は部活に戻ります。」


「お弁当、持ってきてくれてありがとうございました。」


   #ぺたぺたという足音と共に七咲が立ち去る。



《第7話へ続く》


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