第4話 ミッシツ/更衣室に連れ込まれてしまった…

○輝日東高校・校内・更衣室・午前中

   #七咲、純一を連れてくる。

   

七咲

「ここならゆっくり話せます。」

「もう、急にあんなことするんですから、ビックリしました。」

「……はい、ここは女子更衣室です。」


「廊下だと人の目があるからと思ったんです、けど……」

「考えてみれば、あまり男子を入れていい場所ではなかったですね……」

「さっきのことで気が動転してて。私、なんてことを……」


「そ、そういうわけですので、あまりジロジロ見ないでください!」

「……え? あ、お弁当は私のロッカー……」

「えっと、一番右の扉にペンギンのシールが貼ってあるの、って勝手に開けようとしないでください!」


「とりあえず上に置いてくれればいいですから!」

「第一、先輩が悪いんですよ。」

「『桜の木を背にする七咲の水着姿が見たい』だなんて……」


「冗談にしても、改めて口すると恥ずかしい……」

「え……本気、なんですか?」

「その、私てっきり、先輩がいつもやるとっぴな言い訳かと思って。」


「(うれしはずかし)そっか。本気で、私の水着姿を……」

「そういえば先輩とはじめて会った時も、水着を見られてたんですよね。」

「どうですか、いまの私の水着姿は?」


「最高、ですか……(照れて)ありがとうございます。」

「《引き締まった二の腕、鍛えられた筋肉もすごい》って。」

「なんだか見方がマニアックなような……」


「え? 《まさに、水泳部をしょって立つにふさわしい》?」

「……ふふっ、そういう意味ですか!」

「先輩ひょっとして……」


「部長として私がちゃんとやれているか、心配してました?」

「《そんなことないよ》って」

「嘘が下手くそです、ふふっ!」


「ご心配をおかけしました。なんとかやってます。」

「さっきはちょこっとヘンなところ見せちゃいましたけど。」

「いつもはバッチリですから。」


「《塚原先輩も安心だね》って……(まんざらでもない様子で)それは褒めすぎです。」


   #コツコツと足音。


七咲

「あれ、誰か呼びに来たのかな。」


   #部屋の外から響の声。


「やっぱり懐かしいわね。」


七咲

「塚原先輩!?」

「ど、どうしましょう……さすがにここでふたりきりなのは、マズいです!」

「先輩、とりあえずロッカーの中に!」


   #ガタン、とロッカーの扉を閉める音。



《第5話へ続く》


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