第18話 オセロット家の〝鍛錬〟
オセロット家の〝鍛錬〟———。
それは地下の石室で行われる〝
それを操る才能が———ルーナにはあった。
それでも、
‶正しく動かす方法〟が、正確にはわかっていない。
魔法石を埋め込むことで動くことはわかっているが、それだけでは動かすことはできない。その魔法石に魔力を人間が送り込まないと動くことはない。
それならば、ファンタジーロボットアニメのように人が乗り込んで魔法石に触れて動かす展開を『紺碧のロザリオ』をプレイしている時に俺は期待したものだが……
まず動きが遅い、石と粘土でできているために、重く、のろのろとしか動けない。だから体が大きくなれば大きくなるほど、鈍重な動きになる。巨大
そして———一番の問題が、反動ダメージだ。
それは、本来の動かし方がわからないのに、無理やり
それは激痛を与える。
『紺碧のロザリオ』の作中で、ルーナはギガルトに命じられるまま〝鍛錬〟を続け、自力で
「ああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ……‼‼」
石室からオセロット家の屋敷中に彼女の声が響く。
このシリウスの部屋までも届いている、
———彼女は今〝鍛錬〟の真っ最中だった。
「う、あああああああああああああああああああ……! ひぎっ、ぃぃぃいいいいいい‼」
痛みに
———耐えてくれ……ルーナ……
心の中でつぶやいた。
モンスターハント大会。討伐Sランク魔物管理をする上で
ルーナは大量の
現在も十数体の
ギガルトが彼女に‶鍛錬〟を課し続けている理由はそれである。
〝鍛錬〟というのは
だが、一体の操作だけでも肉体に相当の負担がかかると言うのに……それを何十体も同時に動かす……ルーナの体を襲う激痛は想像できるものではない。
「あぁっ、あが……んぐぐぐぐっ、や、やだああああああああッッッッ!」
この悲鳴は昨晩も聞こえていた。
俺は止めに入りたかったが、昨日はギガルトも家にもいたし、シリウス・オセロットとして、優しさを見せてはいけないと迷っていいるうちに‶鍛錬〟が終わってしまっていた。
原作ゲームのシリウス・オセロットはこの悲鳴を聞いて寝るのが人生で一番の快楽だと笑って言っていたが、そんな心情になれるのはサイコパスだけだ。
———あいにくと俺は普通の神経をしている。
女の子が悲鳴と上げていれば、例え
「んアあぁぁぁぁああああああああああああぁぁぁ…………‼」
パタン……。
俺は読んでいた本を閉じた。
タイトルは———【バカでもわかる基礎魔法】。
「うん……大体わかった」
この状況を打破する魔法に関する知識は、おおざっぱにだが身に着けた。
だから———俺は、急いで石室に向かうことにした。
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