第19話【ねえwww】同級生の女子に暗殺されそう( ̄∀ ̄)【聞いて聞いてwww】後編2

とりあえず、午前中は座学しかないのでずっと屋上から観察するのみとなった。

しかし、とくにこれといったトラブルは無かった。

なので、


■■■

136:魔眼保持者

えー、こちら魔眼保持者

いい感じの陽気で、眠くなってきたであります

(`・ω・)ゞ


137:名無しの冒険者

あー、こちらどこにでもいる普通の冒険者

ただいま、仲間から

「お前は役立たずだから、パーティから出ていけ」

と言われ、追放イベント開催中

身ぐるみ剥がされそうな件

誰か助けて(´;ω;`)


138:名無しの冒険者

>>137

仮にも冒険者なら自分でなんとかしろ


139:名無しの冒険者

>>137

いったん拒否して、無理やり身ぐるみ剥ぐよう誘導して、


「キャー!!犯すつもりね?!エロ同人みたいに!!エロ同人みたいに!!」


って叫んで騒げ

だいぶ違うぞ

具体的に言うと、相手が怯む

怯んだ隙に逃げろ


140:名無しの冒険者

あー、こちらソロ活動中の冒険者A

モンスター討伐終わって、王都に向かって帰ってる途中だったんだが

どこかのエリート校の生徒が、指名手配されてる盗賊に襲われてるのを発見、助けたよ

話を聞いたら、実技授業の一環でダンジョンに向かってる途中だったんだってさ

王立魔法学園のトラブルの件、情報共有されてないんかなぁ

まぁ、目的地は【落園回廊】とは別のダンジョンみたいだけど


141:特定班

今のところ、問題が起きてるのは【落園回廊】だけだからな

それ以外は安全と判断されたのかもな


142:137

言われた通りに騒いだら、ふざけんなって言って殴られそうになったから逃げてきた(´;ω;`)


143:名無しの冒険者

とりあえず、パーティ名教えて

関わり合いになりたくないから


144:137

【宵闇の月鬼団】

だよ


145:名無しの冒険者

あー、あの盗賊一歩手前のパーティか


146:名無しの冒険者

評判が悪いことで有名なパーティじゃん


147:名無しの冒険者

なんでそんなパーティ入ったん?


148:137

なんでだろーなー

たしか、どこのパーティにも入れて貰えなくて

困ってたところを声掛けてきたのが、そのパーティだった気が


149:特定班

あー、そのパーティな

新人を雑用で使い潰すので有名な悪徳パーティだ

モラハラパワハラがヤバくて、たしか精神を病んで自殺した新人がけっこういる

でも、証拠が掴めなくて厳重注意止まりになってたはず


150:名無しの冒険者

え、特定班はその証拠とか掴めねーの?


151:特定班

掴めるけど

前、似たようなことで正義感出したばっかりに色々あってさ

こういうのは、頼まれでもしない限り首を突っ込まないことにしたんだ


152:137

頼むから首突っ込んでくれよ~(´;ω;`)


153:特定班

…………

いいよ


154:名無しの冒険者

いいんだ


155:名無しの冒険者

いいのか


156:特定班

ちょっと息抜きしたかったし


157:名無しの冒険者

聞いてくれよー(´;ω;`)

俺、とある冒険者ギルドで受付してんだけどさー

今、新人が薬草取りに行ったら、本来そこにいないはずのモンスターが出て、ついでに討伐してきたとかで

しかもそれが高ランクのモンスターでさ

換金してくれってきたんだけど、余計な仕事増やしてくれてんじゃねーよ

新人なら新人らしくしてくれよ

また残業じゃねーか

ダンッ∑llo(T□T)


158:名無しの冒険者

おう、お疲れ様



■■■


こんな感じでスレは盛り上がったのだった。

それらに目を通し、ユートは、


「皆大変なんだなー」


と呟いた。

そこで、1時限目の授業の終了を告げる鐘が鳴った。

ここから数分程度の休憩を挟んだ後、また次の授業が始まる。

それを繰り返し、昼休憩となった。

ユートの腹の虫も鳴った。


■■■

324:魔眼保持者

お腹減ったー(´TωT`)

学食行きたいけど、行ったら同級生と鉢合わせるから行けない


325:名無しの冒険者

おやまぁ


326:名無しの冒険者

たしかにもう昼か

つ【カツ丼の画像】

Σd(・ω・d)ウマウマ!!!


327:名無しの冒険者

つ【ピザの画像】

育ち盛りなんだからちゃんと食べろよー

(*´༥`*)ウマウマ


328:魔眼保持者

ちきしょー、鬼共め

(<○>盆<○>)


329:考察厨兼迷探偵

とりま、例の女子生徒や指輪は今のところなんもなし?


330:魔眼保持者

無いなー

使ってないから


331:底辺冒険者

なら、こっちから動いたらどうでござろう?


332:名無しの冒険者

あ、底辺冒険者だ


333:魔眼保持者

>>331

こっちからアクションを起こすって

たとえば??


334:底辺冒険者

そうでござるなぁ

とりあえず、学食に行って普通にお昼を食べるんでござる

そしたら同級生氏が魔眼保持者氏を見つけて声を掛けるでござろう?

その時の反応を、それとなく魔眼で見るんでござる


335:名無しの冒険者

でも、魔眼使うとバレるだろ


336:魔眼保持者

そうだなぁ、学食の窓ガラス側の席ならギリ行けるかも

まえ、グランドでも使ったことあるから

ちらっとだけなら、たぶんバレないはず


■■■


そんなわけで、ユートは学食にやってきた。

普通にランチを注文し、適当な窓側の席に座る。

どうやら、少しユートの方が早かったようでイーリス達はまだ来ていなかった。

ゆっくりと食事をし、イーリス達を待つ。

すぐに現れた。

イーリスとその取り巻きの女子生徒達は、学食にやってくると、ユートや他の生徒のようにランチを注文する。

そして、イーリスがどこに座ろうかと学食内を見回して、ユートとバッチリ目があった。

かと思ったら、イーリスがツカツカと食事の乗ったトレーを持ったままこちらにやってきた。


「授業にもでず、こんなところで何をしてるのかしら?

ユート??」


イーリスがトレーを置いて、ユートの真正面に座った。


「お腹空いたから、ご飯食べてたんだよ、お母さん」


「だから、私は貴方のお母さんじゃないって、何度言ったらーー」


いつものやり取り。

いつも通りの、イーリスとユートのやりとりだ。


「あ、やべ。ごめん、目にゴミが入った」


ユートはいつものように、イーリスを相手しつつ、目を擦る振りをして一瞬だけ魔眼を発動し、女子生徒を見た。

否、見ようとした。


「え、ちょ、擦っちゃダメ!」


イーリスがハンカチを出して、ユートへ手を伸ばしてくる。

しかし、ユートは見えた光景に愕然としていた。


(嘘だろ)


内心で呟き、すぐに魔眼の使用をやめた。

一瞬過ぎて、一番近くにいたイーリスでもユートが魔眼を使ったことに気づかなかった。


「ちょっと、ユート?

ほら、目、見せて?」


そんなイーリスの声も届かない。

何故なら、女子生徒だけでは無かったのだ。

今、この学食にいる生徒の半数ほどから、女子生徒と同じ禍々しい魔力を纏っているのが見えたのだから。

近くを、魔力を纏っていた生徒が通り過ぎた。

その手を見れば、あの黒い指輪が嵌められていた。


「あれ?取れたみたいね。

でも一応、あとで目薬を差したほうがいいわ。

それと、午後の授業はって、ちょ、ユート!?」


ユートは手早く食事を掻き込むと、食堂から走って出ていった。

そして、また屋上に戻ると今目にした光景を書き込んだのだった。

反応は、すぐに来た。


■■■

404:名無しの冒険者

え、それマジ?


405:名無しの冒険者

ヤバくね?


406:名無しの冒険者

ヤバいのもそうだけど

なんでそんなに指輪が浸透してるの??

流行ってんの??


407:魔眼保持者

いやぁ、久しぶりに動揺したわwww

だって、普通さ女子生徒だけかなって思うじゃん?

俺のいる教室の連中に関しては、指輪してるの女子生徒だけだったはずだ


408:考察厨兼迷探偵

>>407

それは確認したのか?


409:魔眼保持者

これからする所だ

次の授業が始まったら、すぐにやる


410:考察厨兼迷探偵

んじゃ、その前に

スレ主、今いる屋上からやれるだけ魔眼で確認してみろ

昼休みなんだろ?

つーことは、あちこち生徒が動き回ってるはずだ

どれくらい、指輪と変換された魔力が見える?


411:名無しの冒険者

でも、授業中でも見えそうなもんだけどな

午前中の授業じゃ、確認できなかったんだろ?


412:考察厨兼迷探偵

午前中に関しては、魔眼保持者はあくまで自分の教室のみに絞ってみてた

つまり、そこに集中してたってことになる

もしも、午前中にほかの教室もチェックしてたら違ってたかもな

魔眼保持者は、ある程度女子生徒と指輪に動きがないと悟ると、このスレで雑談しまくってたから、俺たちと

それにおそらくだけど、魔眼は複数のことを同時にすることはできないはずだ


413:名無しの冒険者


414:名無しの冒険者

どゆこと?


415:魔眼保持者

よくわかったなー

俺言ったっけ?


416:名無しの冒険者

なーなー、どゆこと?

複数のことを同時にできないって??


417:魔眼保持者

わかりやすく言うと

魔法のコピーしつつ、他人の頭の中を視るってことができないんだ


418:名無しの冒険者

そうなん?


419:名無しの冒険者

考察厨兼迷探偵はよく気づいたな


420:考察厨兼迷探偵

魔眼保持者の書き込み読んでたら、普通気づくだろ

こいつ、一度も同時にやってみた、って書いたことなかったし

書き込みの時は、解析してみた、頭の中見てみた、魔法コピーした、魔眼で補助しつつ魔法を使った

簡単に言うとこう分けられるし


421:名無しの冒険者

いやいや、蟻塚の時は複数の魔法を使ってたじゃん

アレは?


422:魔眼保持者

>>421

アレは【魔法を使う】で一括りにできる動作だから

逆に、あれだけの大量の魔法を展開、発動しつつ鑑定は使えないってわけ


423:名無しの冒険者

そんな屁理屈みたいな

il||li _| ̄|○ il||li


424:魔眼保持者

仕方ないだろ

そういうもんなんだから


425:魔眼保持者

とりま、近くを通る生徒らをチェックっと

うげっ


426:名無しの冒険者

おう、この反応


427:名無しの冒険者

まさかのまさかってやつか?


428:魔眼保持者

やっべぇ、軽く行き交う生徒だけでも五人に一人は

指輪つけてて、魔力纏ってんだけど(´;ω;`)

なんなんだよこの学園、怖いよ!

俺、そんなに憎まれてんのかよ

さすがにショックだわ


429:考察厨兼迷探偵

さすがにそれはねーな

そこまでのカリスマ性が魔眼保持者にあったら

とっくの昔に、魔眼保持者が魔眼保持者だってバレてるはずだ


430:魔眼保持者

なぁ、なんか俺ディスられてる??


431:考察厨兼迷探偵

そこまで人は他人に興味を持ってないってことだ

ちなみに聞くが、魔眼保持者は自分の横を通った人の顔、一々覚えてて、ムカつくとかそういうの一人一人に覚えるか?


432:魔眼保持者

なにその疲れる人


433:考察厨兼迷探偵

な?

そういうことだ

ましてや、今魔眼保持者は誰の目にもつかない屋上にいる

なら、負の感情を向けられるわけないだろ

誰にも気づかれちゃいないんだから


434:名無しの冒険者

えーと、つまり??


435:考察厨兼迷探偵

学園ってのも、貴族階級の縮図みたいな場所だからなぁ

そりゃ、生徒だって人間だから

恨みや憎しみを相手に持つだろうさ

それに、階級絡みのイジメは普通って聞くぞ?

指輪をどうやって手に入れてるのかも気になるが

そんな小さな魔窟で、皆でお手手繋いで心の底から仲良しこよし、なんて出来るわけ無いよなwwwwww


436:名無しの冒険者

怖いよー

考察厨兼迷探偵が怖いよー(´;ω;`)


437:特定班

とりあえず、指輪の出どころを本気だして探ろうかね

絶対面白いことになるだろうし

あとは、そうだな

魔眼保持者、指輪つけてる連中の画像送ってくれ

数人でいい

そいつらを特定して、ついでに共通点とかあぶりだしてやる


438:名無しの冒険者

特定班も怖いよー


439:名無しの冒険者

どう考えても、趣味や暇つぶしでやる事じゃないんだよなぁ(棒)


440:魔眼保持者

了解(*`・ω・)ゞ



■■■


一方その頃。

例の女子生徒は、学食でユートの姿を見てから穏やかではいられなかった。

今まで、癪に障る者は少なからずいた。

だから、その度に【注意】をしてきた。

【注意】を無視した者には、ささやかな【罰】を与えたことだってある。

そうして身の程をわからせてきたのだ。

中には、身の程を理解しすぎて自ら命を絶った者もいた。

その話が耳に届く度に、女子生徒は自分の正義を確認できて嬉しかった。

だというのに。

この王立魔法学園に入ってからというもの、それらを全く気にもとめない存在が現れた。

それがユートだった。

ユートには、まるで【注意】も【罰】も効いていなかった。

いつも寝てるだけだ。

成績は赤点。

退学も時間の問題だと思われるのに、なぜか学園に居続けている。

それだけではない。

あろうことか、イーリスに近づいて世話を焼かせている始末だ。

許せることではなかった。

だから、【粛清】したのだ。

したはずだった。

あのダンジョンで、奈落の底へと落ち、消えて貰ったはずだったのに、生還したのだ。

けれど、さすがに堪えたのか授業が再開となった今日、彼は登校してこなかった。

そのことに、ようやくわからせてやったと気分が良かったのに。

学食に、奴はいた。

そして、またイーリスに世話を焼かせたのだ。

それが、女子生徒は気に食わなかったし許せなかった。


その怒りは午後の授業が始まってもおさまらなかった。

たとえ、午後の授業にユートがいなくても、おさまらなかったのだ。


「さっさと、死ねばいいのに」


小さく呟いた時だ。

声が、彼女の脳内に響いた。


――なら、今度はちゃんと殺せばいい――


そして、幻視したのだ。

ユートが、変わり果てた姿で地面に転がっている姿を。

この光景を作れ、とまた声がした。

その声に、彼女は歪んだ笑みを浮かべるのだった。

そんな彼女に、ユートでなければ視認できない濃い魔力がまとわりつく。

まるで、蛇のように。

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