第16話【ねえwww】同級生の女子に暗殺されそう( ̄∀ ̄)【聞いて聞いてwww】前編4

■■■


スレ民が抱いた疑問を、ユートも持った。

質問の意図が掴めないのだ。

考察厨兼迷探偵がなにかに勘づいているのはわかる。

では、それはいったいなんなのか?

ユートは、考察厨兼迷探偵の書き込みを待った。

すぐに、その疑問を解消するための書き込みが、コテハンの面々によって行われた。


■■■


335:底辺冒険者

そういえば、一人だけ狙われてる生徒がいたでござる

間一髪で某が助けたでござる

モンスターを倒したのも某でござる

その生徒は軽く膝小僧を擦りむいただけで、無事でござった


336:考察厨兼迷探偵

なるほどな

次、魔眼保持者に質問だ

モンスターはいきなり現れたのか??

まず、モンスターに襲われた時のことを詳しく書いてくれ


337:魔眼保持者

あー、うん

いきなりだった

たしか、ダンジョンに入って、十メートルも行かないうちに、俺たちより先にダンジョンに入った連中が騒ぐ声が聞こえてきたんだ

「モンスターが出た」

「魔法が効かない」

「○○(先行してた他の班員の名前)、逃げろ!!」

とかそんな声が聞こえてきたかと思ったら、俺が所属してる班のメンバーが走り出した

俺が最後に駆け出して、開けた場所に出た

そこで、騒ぎを聞きつけた連中が駆けつけて乱戦状態になってたんだ

班のリーダーである【同級生】が俺以外に指示を出した

まぁ、俺は使えない人員扱いだったから、適当なところに隠れてろって言われたんだ

俺はそれに従って、岩陰にかくれた

そうして、魔眼を使って現状を把握しようとした所で魔法攻撃をくらった

運の悪いことに背後は最下層に続く大穴というか、崖になってて真っ逆さま、というわけ


338:考察厨兼迷探偵

やっぱりな、おかしいと思ったんだよ


339:名無しの冒険者

なにが??


340:考察厨兼迷探偵

>>339

なんで、モンスター襲撃と魔法攻撃が重なってるんだよ?

変だろ?

スレ主だけ狙ってるなら、どちらか一方でいいはずだ

実際、俺が調べた限りじゃ


A:モンスター襲撃

B:乱戦での貰い事故


このいずれかで犠牲者が出てるんだ

んで、今回モンスターは魔眼保持者を襲っていない

モンスターが魔眼保持者のとこに現れて、乱戦になり貰い事故で最下層に落下だったなら、まだ納得できた

でも、モンスターは魔眼保持者以外を最初に狙ってる

変だろ?


341:名無しの冒険者

あ、たしかに


342:名無しの冒険者

言われてみれば


343:底辺冒険者

ダンジョンに入ったでござるよ~

魔眼保持者氏~、どこ行けばいいでござる??


344:魔眼保持者

>>343

とりま、俺が落ちた穴から百階層まで落ちてきてくれ

そこで合流しよう


345:底辺冒険者

>>344

了解でござる(*^^*ゞ


346:名無しの冒険者

え、ちょっと待って

考察厨兼迷探偵、それってどういうことなん??


347:考察厨兼迷探偵

どうもこうもない

魔眼保持者以外にもう1人、別の生徒の暗殺計画が実行されてた可能性があるってことだ

そっちの犯人も別にいる可能性が高いって事だ


348:名無しの冒険者

マシか( ゜д゜)


■■■


「マジか」


合流地点へ向かいつつ、ユートはスレ民と同じ言葉を呟いた。

つまり、あの時点で標的はユート以外にもう1人居たらしい。

そちらの方は、スレの流れから察するに膝小僧を擦りむいただけで済んだらしいが。


「あれ、でもヤバくね??」


ユートに嫌な考えが浮かんできた。

とりあえず、窮地脱出したものの危険は去っていない。

ユートを殺そうとした犯人はとりあえず置いておくとして、問題は、もう1人についてだ。

もう1人の標的は、底辺冒険者ヴィンセントが助けることに成功した。

そして、今は他の生徒とともにいるだろう。

しかし、何かあった時対処出来るであろうヴィンセントは、この最下層に向かってきている。

その事を書き込むと、考察厨兼迷探偵からは意外な返答がきた。


■■■


363:考察厨兼迷探偵

あー、その点に関してはたぶん大丈夫だ


364:名無しの冒険者

なんで??


365:名無しの冒険者

どうしてそう言い切れるんだ?


366:考察厨兼迷探偵

とりま、今まで起きた事件と事故は授業中に起きている

今回、こんなことになったんだ

授業を継続するのは難しいだろ

逆を言うなら、校外授業中にしかモンスター襲撃事件も、乱戦貰い事故も起きていないんだ


367:底辺冒険者

.....φ(・∀・*)なるほどぉ.…

たしかに、授業は中止になり、生徒は学園へ強制帰還されている最中でござる

もう1人の標的であった生徒は、軽傷ではあったものの先に学園へ帰還したはずでござる

それを見送ってから、こちらにきたでござるから


368:名無しの冒険者

ふむふむ


369:名無しの冒険者

じゃ、ひとまず安心だな


370:名無しの冒険者

安心か?


371:名無しの冒険者

スレ主、学園に生還したらまた狙われるってことだろ??


372:魔眼保持者

ワクワクが止まんねぇなぁ

そしたら、また実況すんよwww


373:名無しの冒険者

だから、スレ主のその実況への熱意はなんなんだよ?


374:魔眼保持者

えー、実況楽しいじゃん

まぁ、それはそうと

元特殊訓練施設出身で、元暗部所属だった俺を殺せるもんなら殺してみろ、とは思ってるけどさwww

ちなみに、俺を殺せるのは飼い主だけだぞwww

(๑•̀⌄ー́๑)b


375:名無しの冒険者

そういやそうだった


376:名無しの冒険者

改めて羅列すると、かなり物騒な経歴だよな

スレ主の経歴って


377:名無しの冒険者

そもそもスレ主、魔眼保持者ですしおすし


378:底辺冒険者

あ、見つけたでござる!


379:魔眼保持者

あ、いたいた!!


380:名無しの冒険者

お、もしかして

二人、合流できたのか??


381:魔眼保持者

底辺冒険者と合流できた

ヽ(* ´▽`)人(´▽`* )ノ・


382:底辺冒険者

魔眼保持者氏と合流できたでござる

(・∀・)人(・∀・)


383:名無しの冒険者

お前ら、人生楽しそうだよなぁ


■■■


ヴィンセントと合流してすぐに、ユートは襲撃者の死体を置いてきた場所へ戻ってきた。


「こいつが襲撃者でござるか」


「まぁな」


ヴィンセントは、しばらくの間死体を調べていた。

やがて顔を上げ、ユートへこう言った。


「……ふむ、どうやらこいつは、指名手配犯で間違いないでござるな」


「指名手配犯?」


「そう、魔族にも派閥というものがあるんでござる」


「派閥」


「穏健派とか過激派とか、左とか右とかそういうのでござる」


「えと、それが??」


「世界大戦で敗北を喫して以降、魔族側はそれを主導してきた政権が倒れ、現在は人間種族や他種族と仲良くして行きましょう、という考えの派閥が政権を握ったでござる。

現在、北の山脈には、追いやられた魔族たちの国があり、その国とウィスティリアは魔王が交代したこともあり、少しずつ国交も増えているでござる。

さすがに、同盟関係を結ぶにはまだまだ時間がかかるでござるが。

この辺は社会科の授業で習わなかったでござるか?」


「授業中って、昼寝に最適って学生してて初めて知ったよ」


「好きなこと以外には基本興味ないでござるからねぇ、ユート氏は」


苦笑しつつ、ヴィンセントは続けた。


「現政権になって以降、組織の大改革が行われたでござる。

戦争の責任をとって、処刑された者も少なくないと伝え聞いたでござる。

先代魔王も処刑されたらしいでござる。

その中で魔王軍も再編成が進み、旧魔王軍で幹部だった者達はそのほとんどが処刑されたでござる。

でも、そこから逃亡した者もいたでござる。

この者や、そしてユート氏が以前話してくれた暗部時代に交戦したというもの達はこういったもの達の残党だったんでござろうな」


説明を終えると、ヴィンセントは自分の携帯端末を取り出して、とある画像を表示させるとユートへ見せてきた。


「この残党の一人で、現在指名手配中の者は何人かいるでござるが。

ユート氏が倒したこの者は、恐らくこの画像の者であろうと思うでござる」


それは、手配書だった。

写っているのは、たしかに、ユートが倒した男の顔である。

生死問わずの表記までされている。

経歴というか、説明も載っていた。

旧魔王軍、親衛隊隊長という肩書きを持つ男だった。

少なくとも隊長格だったということは、戦争で負けなければそこそこ華々しい一生を送ったことだろう。

けっして、こんな真っ暗なダンジョンの奥で生涯を閉じることはなかったはずである。


「懸賞金、三億ジェニー」


ジェニーというのは、この世界の通貨単位である。

社会人の初任給が、大体15万から18万ジェニーである。

冒険者が災害級と呼ばれる、SSSランクのドラゴンを討伐しても精々300万ジェニーが天井である。


「すっごい、大物だった」


「そのすっごい大物を、ユート氏は倒してしまったんでござる。

どうするつもりでござるか?」


「え、ヴィンセントが倒したって事にしてくれない??

懸賞金、全部上げるからさ」


「またでござるか?

つい先日も、ユート氏のお願いを聞いたばかりでござろう」


「そうは言っても、俺が倒したって上層部に知れたらめんどいんだよ。

前から言ってるけど、趣味を続けるためにもあまりこういうので目立ちたくないんだ」


「そう言いつつ、正体をバレるか否かを楽しんでるのはいいんでござるか?

死の谷デス・バレー】件も、中々目立っていたでござろう。

矛盾してるでござるよ」


「アレはスリルを楽しんでるの!

ゲームだよ、ゲーム。

あっちはプライベートだから、いいの!

それに目立ったのは、俺じゃなくて魔法だから!!」


それはその通りだが、いいのかそれで、とヴィンセントは思ったが口には出さなかった。


「まぁ、お金はほしいでござるから別にいいでござるけど。

でも、流石に全額は貰えないでござるよ」


ヴィンセントはしぶしぶ、襲撃者の後始末を引き受けた。

しかし、謎は増えるだけだ。

おそらく、そのことにユートも気づいているだろう。

たとえば、なぜわざわざ落とした生徒を殺してまわっていたのか?

どうやって、モンスターを都合よく襲撃させているのか。

魔族側、粛清された派閥の生き残り、残党に不穏な動きがあるのはたしかなので、それに関係していることは察せる。

しかし、どうにも材料が足りない。

まぁ、これに関しては掲示板に投げておけば考察厨兼迷探偵か、特定班が趣味で動いてくれるだろう。

それはそうと懸賞金に関しては、あとで分けるということでユートに納得させた。

とりあえず、話がまとまったということで掲示板を開く。

すると、特定班がなにやら焦ったような書き込みをしていたのが目に入った。

同時に二人は自分たちの携帯端末、それぞれに特定班からの大量の通知が来ている事に気づいた。


■■■


478:特定班

おい!

魔眼保持者と底辺冒険者!!

いたら書き込め!!


バンバンバンバンバンバンバン

バン     バンバンバン

バン (∩`・ω・)  バンバン

 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/

   \/___/ ̄


479:名無しの冒険者

おう、どうした


480:名無しの冒険者

なんかあったのか?

特定班??


481:名無しの冒険者

とりま、もちつけ


    ガスッ


[二二ミ  グシャッ

  ∥  ヾ   ゲシッ

  ∩∧∧ヾ_

  || ゜∀)| |  ゴショッ

 /⌒二⊃=| |

(  ノ %∴∵⊂⌒ヽ

 ) ))  ) ̄ ̄(0_ )

 \)) (___) (_(



482:考察厨兼迷探偵

ガチでどうしたんだよ?

そんな取り乱して


483:特定班

王立魔法学園がやばい事になってる!!


484:名無しの冒険者

やばいこと?


485:名無しの冒険者

ん?


486:名無しの冒険者

なにがどうヤバいんだ??


487:特定班

学園内にモンスターが出た!

負傷者多数!!

死者は不明!!


488:名無しの冒険者

は?

モンスター??


489:名無しの冒険者

これか

つ【とある動画サイトに投稿された動画。逃げ惑う教師と生徒の悲鳴が録画されている。暴れ、荒れ狂うドラゴンが映し出されている。火の手もあがっているのか黒煙が見える】


490:名無しの冒険者

動画投稿者、逃げながら撮影したんか


491:名無しの冒険者

たぶんな


492:考察厨兼迷探偵

いま、魔眼保持者に電話かけてる!!

出た!!

掲示板見たっぽい!

すぐ向かうってよ!!


493:名無しの冒険者

そうか


494:名無しの冒険者

ε-(´∀`*)ホッ


495:名無しの冒険者

しかし、なんで校内にドラゴンが??


496:名無しの冒険者

それも、王立魔法学園の敷地内だぞ?


497:名無しの冒険者

飛んできたならニュースになるよな?

SNSでも、ドラゴン飛んでるって話題になりそうなもんなのに

なってないぞ??


498:名無しの冒険者

でも、現にこうして暴れてるわけで


499:名無しの冒険者

だよなぁ


500:考察厨兼迷探偵

考えられるのは、誰かが召還した、とかだろうな

それこそ、可能性は低いからって除外したけど

ダンジョンでキラーフロッグをけしかけた奴が、学園内でも暗殺計画を実行した、とかかもな

あとは、さらに別に標的がいるのかも知れない


501:魔眼保持者

とりあえず、底辺冒険者とモンスター片付ける

あとでまた書き込みにくる!


502:名無しの冒険者

おぅ、いてらー


503:名無しの冒険者

たぶん、絶対大丈夫だとは思うけど

ヤバそうだったら、やばいって、書き込めよ

手伝いに行ってやる

これでもここにいるのは、冒険者の端くれだからなwww

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