第14話【ねえwww】同級生の女子に暗殺されそう( ̄∀ ̄)【聞いて聞いてwww】前編2

しかし、ヴィンセントは少しだけ違った。

周囲に気づかれぬよう、それとなく視線を走らせている。

そのことにユートは気づいていたが、この場で指摘することは無かった。


一方、ユートを何がなんでも亡き者にしようと徒党を組んだ女子生徒達は互いを見やる。

成功は約束されているのだ。

女子生徒達の中でも、リーダー的存在である少女。

とくに、ユートを目の敵にしている少女である。

その少女の指には、細い真っ黒な指輪が嵌っている。

さすがにこんな注目されている場所で、魔眼を使えるわけは無いのでユートは気づかなかった。

ただ、もしもユートがこの時に魔眼を使っていたならその指輪から禍々しい力が、少女にまとわりついていたことに気づけたかもしれない。

では、ヴィンセントは気づけなかったのかと言えば、はっきり言ってしまえば気づけなかった。

歴戦の勇士であり、現代の英雄であるヴィンセントだが彼女の目は普通の人間のそれである。

余程、注意しない限り違和感に気づくことすら難しいのだった。


そうこうしているうちに、ユートの所属する班の順番が来た。

ダンジョンに向かおうとするユートへ、ヴィンセントは小さく言葉を投げた。


「なるべく早く、掲示板を立ててくれると助かるでござる」


ユートは、意味を図りかねてとりあえず頷いておいた。

それから、イーリス達を追いかけ、追いついた。

すると、イーリスが、


「ヴィンセント様となんの話をしていたの?」


そう聞いてきたので、ユートは、


「んぁ、あー、雑談。

あと、落ちこぼれならとくに気をつけなさいって言われた」


その返答に、同じ班の他の女子生徒達があからさまに嘲笑した。

ちなみに、この班に男子生徒はユートだけである。



■■■

【暗殺】実況、開始なう!(o´・ω-)b【予定】



1:魔眼保持者

ほい、予定通り実況開始なうwww


2:名無しの冒険者

本当にやるとは


3:名無しの冒険者

なあ、その暗殺云々さ

それ考えすぎじゃねーの??


4:魔眼保持者

まぁ、実行に移すかいなかは、わからんからなぁ

ただ、殺る気な熱烈視線はめっちゃ向けられてた

とりま、今ダンジョンに入った


5:名無しの冒険者

え、校外授業ってダンジョンでやるんだ?


6:考察厨兼迷探偵

なんて言うダンジョン??


7:魔眼保持者

>>6

なんつったかなぁ


8:底辺冒険者

>>6

【落園回廊】でござる

攻略難易度はAクラス

現在、百階層まで攻略されているでござる

ただ、百階層以降は一気に生息してるモンスターの強さが上がってて、中々攻略出来ていないでござる

噂では、近々Sランクに格上げされるとかなんとか


9:名無しの冒険者

へ?


10:名無しの冒険者

え、なんで底辺冒険者がそんなこと知ってんの??


11:魔眼保持者

なんか、特別講師で来てる


12:名無しの冒険者

は?


13:名無しの冒険者

はい??


14:名無しの冒険者

特別講師??


15:底辺冒険者

まぁ、ここなら大丈夫でござるから

書き込むでござる

実は、??!!

悲鳴っ?!


16:名無しの冒険者

ん??


17:名無しの冒険者

どした??


18:魔眼保持者

あー、こう来るか

なるほどなるほど

とりま、俺氏落下中


19:名無しの冒険者

えwwwちょwwwえ??


20:名無しの冒険者

(;ω; ))オロオロ (( ;ω;)オロオロ


21:名無しの冒険者

ごめん、なにが起きてるのかわからん

説明よろ


22:魔眼保持者

んー、なんかダンジョンにさ、入ったんだよ

班わけで、順番にさ

そしたら、なんかでっけーカエルに襲われてさ

そんで、戦闘になったんだけど

騒ぎを聞きつけて、他の班のやつらも来て乱戦になってな

なんか攻撃魔法食らって、俺、落下中www


23:名無しの冒険者

こら!

草生やすんじゃありません!!


24:魔眼保持者

てっきり、闇に乗じて刺してくるものとばかり考えてたから

こう来たかー感が半端ない

つ【落下中の動画】


25:名無しの冒険者

馬鹿なの??

スレ主www馬鹿なの??

Wwwwww


26:名無しの冒険者

なに、動画撮影してんだwww


27:魔眼保持者

いや、実況だし

いるかなって


28:名無しの冒険者

潰れたカエルにならないよう、気をつけろよー


29:魔眼保持者

>>28

v(。・ω・。)v ウッス


30:底辺冒険者

キラーフロッグが出たでござるか

それで、パニックになり乱戦に、という流れで良いでござるか??

魔眼保持者氏??


31:魔眼保持者

>>30

そーそー、そんな感じー


32:底辺冒険者

それで、魔眼保持者氏にモンスターor居合わせた生徒の攻撃魔法が当たって、下層に落下中ということでござるな??


33:魔眼保持者

確実に生徒だ


34:名無しの冒険者

???

なぁ、未来視で攻撃が来るってわからなかったん??


35:魔眼保持者

>>34

分からない方が楽しめるかなって思って、未来視しなかったなう

だから、落ちたのは本当に偶然なんだなぁ、これがwww


36:名無しの冒険者

使えるものを使わなかった者の末路www


37:名無しの冒険者

刺されるかなとは考えてはいたのに

なんで、魔法で攻撃されるって考えに至らなかったんだ


38:名無しの冒険者

行き当たりばったりさんめ


39:魔眼保持者

いやぁ、それほどでも(///∇///)ゞ


40:名無しの冒険者

褒めてはいないかな


41:魔眼保持者

あ、ちなみにもう落ちる所まで落ちて、無事着地したよ

Σd(≧∀≦*)


42:魔眼保持者

さてさて、ここは何階層なんだろ??


■■■


魔法で灯りを出して、さらに目を気兼ねなく使う。

そうして分かったのは、ここが98階層であるということだ。

ユートは、自分が落ちてきた遥か天井を見ようとするが、光すら見えなかった。


「予定とはだいぶ変わっちゃったなぁ」


スレでもかきこんだが、件の女子生徒はナイフで刺してくるタイプだとユートは考えていたのだ。

この階層を魔眼を使って見通してみる。

すぐこの階層の地形を把握し、さらに階下へいく通路を見つけることが出来た。

こんな電波も届かないだろう場所なのに、何故か掲示板だけには繋がっている。


「ほんと、不思議だよなぁ」


以前、オカルト板を覗いた時にも、その時の実況者曰く、他の場所には繋がらないのに、何故か掲示板には繋がっているという事象に遭遇したことがあった。

今回もおそらく、それと同じ現象なのだろうと思われた。


■■■

83:魔眼保持者

なんか思ったのと違う暗殺のされ方して時間余ったから

このまま、攻略スレに変更する


84:名無しの冒険者

>>83

>思ったのと違う暗殺のされ方して時間余ったから

>攻略スレに変更する

ちょwwwまてwww


85:名無しの冒険者

脱出しないの??


86:魔眼保持者

俺、転移魔法使えるから

出ようと思えばいつでも出られるし

けど、あまり早く戻りすぎても怪しまれそうだし

個人的につまらないから

攻略しようかなと


87:名無しの冒険者

ダンジョン実況か、久しぶりだなぁ


88:名無しの冒険者

(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-


89:名無しの冒険者

とりま、百階層までしか攻略されてないんだよな?


90:魔眼保持者

>>89

らしいな

とりあえず、百一階層目指す


91:名無しの冒険者

いいのか?

それで??


92:名無しの冒険者

そういや、さっき底辺冒険者、なにか言おうとしてたよな?

なんだったんだろ??


93:底辺冒険者

>>92

思考入力に切りかえたでござる

まだ、現場が混乱してて、その対応しつつ書き込むでござる


94:名無しの冒険者

おう


95:底辺冒険者

実は、他の学校

スレ主が通っているような、他所のエリート校でも先程のような事故が立て続けに起きてるのでござる


96:名無しの冒険者

はい?


97:名無しの冒険者

どゆこと??


98:底辺冒険者

スレ主がドラゴン襲撃事件を実況し始めたあたりから

他のエリート校でも、似たような襲撃事件が相次いだでござる

その時の犠牲者は、有力な貴族の子息ばかりで

最近は、こうして校外授業での事故での犠牲者が多くなっているでござる

しかも、最初は先述したように貴族の子息が犠牲になっていたのが

最近は能力を買われ、特別にエリート校への入学を許可された一般人、古い言葉で言うなら平民出身の生徒が犠牲になっていたんでござる


99:名無しの冒険者

マジかよ


100:名無しの冒険者

え、全然ニュースになってないけど

ガチ??


101:特定班

底辺冒険者の言ってること、ガチだぞ


102:名無しの冒険者

あ!

特定班!!


103:特定班

ROMってたけど

ちょい調べた

犠牲者が平民になってからは、その事実が握り潰されるようになってるみたいだ

貴族の子息の時のは、これから裁判になるらしい


104:名無しの冒険者

うわぁ


105:名無しの冒険者

マジか


106:名無しの冒険者

ん?

でも、なんでそんなことになってんの??


107:底辺冒険者

さる筋からの情報によると、どうも魔族が関与してるらしいでござる


108:名無しの冒険者

魔族??


109:名無しの冒険者

マジかー


110:名無しの冒険者

魔族って、北の山脈に追いやられたって聞いてるけど

え、出てきて暗躍してるってこと??


111:考察厨兼迷探偵

>>110

まぁ、そういうことだろうなぁ


■■■


「あ、考察厨だ。

それに、魔族??」


ずんずんと、生息しているモンスターを倒しダンジョンを攻略していたユートは、一度立ち止まった。

そして、魔族に関しての知識を記憶の奥底から引っ張り出す。

魔族は、人間種族や亜人種族と対立している種族である。

過去の世界大戦を引き起こし、そして敗れ、北の山脈に引っ込んでいったのだ。

ユートのような兵器の研究が進み、作られたのも対魔族のためだったりする。

ユートは何度か、暗部時代に魔族のスパイと交戦したことがあった。

しかし、最近は魔族側のそういった暗躍も無かったように思う。

また始まったということだろうか。

考えつつ、ユートは掲示板に視線を落とす。


■■■


120:底辺冒険者

>>111

あ、情報提供者が降臨したでござる


121:名無しの冒険者

さる筋ってwww考察厨兼迷探偵かよwww


122:底辺冒険者

ちょっと今回の仕事、闇とか深そうだったんで

考察厨兼迷探偵氏に探ってもらったんでござる


123:名無しの冒険者

特定班に頼めばよかったじゃん


124:底辺冒険者

>>123

特定班氏の連絡先知らないでござる


125:名無しの冒険者

あ、なるほど


126:名無しの冒険者

なんで、考察厨兼迷探偵の連絡先は知ってんだよ?


127:底辺冒険者

魔眼保持者氏に教えてもらったでござる


128:魔眼保持者

俺は実況活動はじめたばかりの時に

当時過疎りまくってる掲示板立てて、一人実況してたら

考察厨兼迷探偵が来て、そんとき解けなかったダンジョンの仕掛けの解き方教えてくれて

ついでに連絡先教えてもらった


129:名無しの冒険者

なんで、魔眼保持者って微妙に交友関係広いんだよ


130:魔眼保持者

似たような理由で、特定班のとあるSNSのアカウントも知ってる


131:名無しの冒険者

おいwww特定班の連絡先も知ってんのかよwww


132:魔眼保持者

考察厨兼迷探偵と特定班の顔は知らないけどな


133:名無しの冒険者

あ、そこは知らないのね


134:名無しの冒険者

今回の件、闇が深そうって言うのは

どういう意味だ?

底辺冒険者??


135:底辺冒険者

平民出身の生徒が犠牲になったと書き込んだでござろう?

その犠牲になった、事故というのが、何度も書くでござるが

今回と同じシチュエーションだったでござるよ


136:名無しの冒険者

え、ダンジョンで襲われたってことか?


137:底辺冒険者

そうでござる

そして、魔眼保持者氏と同じように最下層に落下

後日、攻略に来ていた冒険者or自分のように生徒探しを依頼された者がその変わり果てた遺体を見つける

そんな流れになっていたんでござる


138:名無しの冒険者

φ(゜Д゜ )フムフム…


139:底辺冒険者

闇が深そうというのは、ここからで

発見された遺体には、武器で傷つけられた跡があったということでござる

そして、死因は落下死ではなく失血死だったと


140:名無しの冒険者

え、ちょちょちょ

それって

((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル


141:考察厨兼迷探偵

そ、明らかな他殺だ

でも、学校側は生徒が平民出身ってことでこれを秘匿した

真実を知りたいっていう保護者の声も握りつぶされた


■■■


「うっわぁ」


そこまで読んで、ユートの口からドン引きした声が出た。

でも、やりかねないなぁとも思った。

その程度の差別はあるのだ。

だって、将来国を支える階級出身の子供と、別の意味で支えるが平民でしかない子供。

はたしてどちらが未来のために大切なのかと言うと、学園の答えは決まっているのだ。

なぜなら、そういうものだからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る