12条

(今)この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


(仮)この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。




これはですね、一見正しそうに見えます。


特に注意してみてほしいのが「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し」ですね。


この言葉、基本的人権の対価として義務を設ける、ということなんです。人権の対価…侵すことのできない永久の権利と言うのは、政府にとっては戯言だったんでしょうね。


前も言った通り、そもそも憲法というのは、国民を国の権力から守るためのものです。


歴史を振り返ってみると、多くの、特に王政の国では国民が行政によって虐げられていたわけです。一人の人間では、巨大な力である行政(例えば警察と言う名前の)には逆らえない・立ち向かえないですよね。ですから、憲法というのは、その大きな力の濫用を防ぐためのものです。


なので、現在の日本国憲法では3つの義務以外には国民に対して定められていることはほとんどありません。ですが、この「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し」という言葉は憲法の目的から外れたものなわけです。この言葉の解釈によっては、義務を果たしていないとされた人間(正しくても間違いでも)には自由や権利がない、という風に決めつけられてしまいます。


最悪の場合、政府の意向に反する人間に対して、勤労の義務を果たしていないということを捏造すれば、その人間の自由はなくなる、ということも起こりかねませんね。どれだけ拘束しても身体の自由はありませんし、どれだけ拷問しても、例え殺したとしても生存権はありませんから。


この条文、正直言って、9条改正と並ぶぐらい危険なものだと思います。




上記のことは机上の空論ではなく、法律の拡大解釈によって、言論封殺を行った歴史はどの国にもあります。例えば、大日本帝国のように…

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