追放
パエルモの正常化は一気に行われた。
詳細な事情を知らない一般市民からも歓迎された。
それほどまでに派遣された人員の質は低かった。酔っ払って器物損壊なんかは日常茶飯事。恐喝も当たり前。
パエルモの治安が一気に悪化していた。
その原因が一掃されたのだ。
彼らを乗せた馬車が街を出る時は市民から歓声があがった。
オチョロイ伯爵たちを乗せた馬車を見送る。
オチョロイ
「この私に、こんな仕打ちをしてただで済むと思うなよ!」
ジョシュア
「私の役目は父上が不在のパエルモを守ること。治安を乱す存在がいれば排除する。
それだけのことです。」
オチョロイ
「お前のその判断で領地を失うことになるんだぞ。」
ジョシュア
「その時はその時です。
私に任せたのは父上の判断。
私は私の判断で最善を尽くすだけです。
それでうまくいかなければ、それは父上の判断ミスです。」
オチョロイ
「なんと無責任な!」
ジョシュア
「それを無責任だとおっしゃるなら、好きに言ってください。
でも、私はあなたを追放します。」
オチョロイ
「お前のその判断でパエルモ伯爵が処刑されるかもしれないんだぞ。」
ジョシュア
「我々の心配より、ご自身の心配をなされた方がよろしいのではないですか。
こんな私のような未熟者すらコントロール出来なかったあなたの立場の方が厳しいんじゃないですか。」
オチョロイ
「なに!?」
ジョシュア
「あなたを送り出した方も、まさか、父上が戻って来る前に、尻尾を巻いて帰って来るとは想像もしていないでしょうから。
どんなミスでも許してくださる、お優しい方ならいいですけどね。」
オチョロイ
「ぐぬっ、、、」
ジョシュア
「さぁ、
街から追放せよ!
衛兵にも街の警備を強化し、不審者に入られぬように伝えておけ!」
馬車が去っていく。
ジョシュア
「アキラ様、ありがとうございました。
少しスッキリしました。」
久しぶりにジョシュア様の笑顔を見た気がする。
僕
「良かった。
これからどうするの?」
ジョシュア
「まずはパエルモの防衛体制を整えます。
人手不足は間違いない状況ですので、冒険者ギルドに依頼して、街道の治安維持は冒険者に任せます。
パエルモの防衛に専念すれば、今の人数でもなんとかなるでしょう。」
僕
「頑張ってください。
直接僕が力を振るうのは嫌でしょうけど、兵士の慰労ならうちの料理やお酒を提供しますよ。」
ジョシュア
「ありがとうございます。」
その後、ジョシュア様から、オチョロイ伯爵たちがバレティアに入ったとの報告があった。今のところは予想通りに進んでいる。
パエルモも徐々に活気が戻ってきた。
やっぱり治安の良さは大切だね。
そして、マユラさんとペネロペ様が同時に産気づいた。
もう我が家は大慌てだよ。
まさか王族の出産をうちでするなんて。
助産師さんとアイラさん、カミラさん、ルーシュさん、フィオがサポートに入った。
当然、僕は外で待機ですよ。
2回目だけど、落ち着かないね。
僕がうろうろしているのを何度もアリエッタさんにたしなめられた。
先に産まれたのはマユラさんの子ども。
元気な女の子でした。
そして約3時間後。
ペネロペ様の子どもも産まれました。
元気な男の子です。
僕
「マユラさん、
お疲れさまでした。」
マユラ
「は~、
出産がこんなに大変だとはね。
親に感謝しないといけないね。」
僕
「そうだね。
僕もマユラさんに感謝だよ。」
マユラ
「感謝は言葉だけじゃなく、行動で表さないとダメよ。」
僕
「そうします。」
和やかな空気が流れる。
名前を考えないとね。
それから、、、
僕
「ペネロペ様、お体大丈夫ですか?」
ペネロペ
「ええ、
大丈夫です。
ありがとうございます。
王宮よりも安心して出産出来たわ。」
僕
「まずはゆっくり休んでください。
後で体調回復用のスープを用意するので、それを飲んで、体を元に戻しましょう。」
ペネロペ
「何から何まで助かるわ。」
出産は産んだら終わり、というものではない。産んだ後もすぐに体調が戻る訳ではない。この世界では、出産後にそのまま体調を崩し亡くなることもあったりする。
母子ともに安定するまで注意が必要だ。
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