満月亭の反響

満月亭がオープンしてしばらくしました。


しっかり予約が入ってます。

と言うか、予約がバンバン入って、予約が取れない人気店になってます。


アーサー王子やパエルモ伯爵が高評価を与えたことが噂になり、貴族や商人たちがこぞって予約をしてくれました。

そして、食べた人がみんな美味しいって言ってくれて、どんどん予約が広がっていきました。


どんな貴族相手でも順番抜かしとかは認めていない。なにせ、王子が行儀良く順番を待ってるからね。それを知っている貴族たちも順番待ちを我慢している。

待たないといけないことがわかっているから、食べられることが余計に喜ばれる。


今はモルトさんの奥さん、シーラさんが裏方のお手伝いをしてくれてます。

モナちゃんとスコットくんには申し訳ないけど、営業時間だけ辛抱してもらってます。

シーラさんは給料が貰えるから、全然オッケーって感じでした。




満腹亭ももちろん営業してます。

こっちも大人気だよ。

客層は全然違うけどね。

満腹亭は庶民の味方。まぁ庶民にしては少し高価だけどね。

ちょっとした贅沢って感じ。


ある日。

僕にお客さんが来ました。


「アキラ様、少しだけお話させて頂いても宜しいですか?」


「えっ」


なんか見たことある顔だけど、、、

誰だっけ?


「失礼しました。

私はリズムリア王国第2騎士団のスタイナーと申します。

少しお時間、宜しいでしょうか。」


第2騎士団ってことはバレティアのセージさんの部下だよね。

じゃあ、無視は出来ないな~。


「もちろんです。」


スタイナー

「ありがとうございます。

実は毎年、年に1度、第2騎士団ではお祭りを行っております。

アキラ様にはそのお祭りを料理で盛り上げて頂きたいのです。」


「へ~、祭りですか。

楽しそうですね。

何をするんですか?」


スタイナー

「例年は肉とお酒を用意して食べて、飲んでするだけです。

ですが、今年はアキラ様のお力でセージ様も楽しめる祭りにしたいのです。」


「なるほどね。

予算とか希望とかありますか?」


スタイナー

「セージ様、騎士団員、その家族、市民。すべてが楽しめるのが理想です。

予算はこの程度です。

ちなみに前年はお酒をこの程度用意し、肉の大半は騎士団で周辺のモンスターを狩って調達致しました。」


スタイナーさんが前年の資料を見せてくれた。けっこうなお酒の量だね。

まぁ、宴会ならこんなもんか。

お酒を除くとそんなに予算がない。


スタイナー

「依頼料は別途団員のカンパで集めました。

こちらです。」


なるほど。

僕へ払うお金は騎士団の団員のポケットマネーってことね。


「わかりました。

引き受けましょう。

どんな感じでやるか決まったら報告しますよ。スタイナーさんを訪ねればいいですか?」


スタイナー

「さすがに途中でお越し頂くのは申し訳ないので、鳥を飛ばして頂ければと思います。」


そう言えば、そんな連絡手段があったね。

イリーナさんとかが使ってた。


「わかりました。

やってみます。」


スタイナー

「有難うございます。

何卒、宜しくお願い致します。」


スタイナーさんはお礼を言って帰って行った。



セージさんの喜びそうなお祭りか~。

セージさんはリズムリア王国第2騎士団の団長を務める偉い人。ドバン帝国との国境にあたるバレティアで守りについている。


しかも僕と同じ異世界出身者だ。

だから、僕のことも気にかけてくれている。

困った時も助けてくれる優しいおじさんだ。


やっぱり異世界風のお祭りにした方が喜んでくれるかな?

それにバレティアは内陸部にある街だからね。海産物なんかも喜ぶかもしれないな。

ちょっと考えてみよう。

まずはリィズとフィオに相談かな。

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