第六章・とある者たちの暗躍

風呂場で湯を堪能している最中。

学校では、ある者たちが会話をしていた。


「まさかあんな事で我らの事をおびき出すなど」


「まさに、温泉津月妃が出来る芸当だ」


慌てている様子であり、脂汗が滲んでいる。

彼らは、温泉津月妃と言う女をどうやら甘く見過ぎていた様子だった。

だが、もう一人の男が、悠然としたたたずまいで言い出す。


「さて、キミたち、これからの事だが、どうするかを挙手しようか」


優雅な佇まいでその様なゆったりとした口調で言う男。


「我々に残されている道は三つだけ、それの中でどの選択をするかを決めなければならない」


指を三つたてる。

人差し指、中指、親指の三つだ。


「神の力を得た我々が成すべき事を、さあ、手を挙げようか」


わざわざ確認する様に、他の男が言うと足を組み直して椅子に座り直した。


「一つ、このまま逃げてしまう。現状、神祓いは我々の所在を理解している、このまま逃げてしまう事が得策である」


まず中指を折り曲げて一つ目を簡単に説明する。

巫覡の実力を理解した上で、神の力を消さない為に学校からの逃走を選択するか。


「二つ、神祓いは放置する、相手側からやって来たとしても、あくまでも我々は神とは関係の無い人間である事を装い、相手が勘違いしていたと言う事に懸けるのみ」


次に親指を折り曲げて二つ目を簡単に説明した。

巫覡に見せた反応はあくまでも偶然であると主張し、のらりくらりと逃げるか。

幾ら巫覡と言えども、状況証拠だけでは動く事は無いだろうと言う考えらしい。


「そして三つ、温泉津月妃を倒す。温泉津月妃さえ倒してしまえば我々の天下は確定する」


最後に人差し指を折り曲げた。

巫覡、温泉津月妃を逆に倒す。

そうすれば、十月機関に彼らの存在は知られない。

勿論、その前提条件として温泉津月妃を生かし、支配する必要があるが。


「三つ目に賛成だ、ついでに言ってしまえば…温泉津月妃に首輪をつけてしまおう」


「温泉津月妃の組織には、討伐を完了したと言う事実のみを伝える事で、我々の存在は完全に無かった事にすると言うわけだな?…それがいい、ついでに、この学校に居る同業者にも首輪を付けてしまおう」


表情が歪む、悦びを浮かべている。

自分たちが強い、それを信じて疑わない様子だ。


「そうだな、それがベストだ。さあ…始めようか、我々には、奥の手がある、万が一にも、負ける事など一切ないのだから」


そうして高笑いをする者たち。

明日、その作戦は結構される予定だった。

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