第六章・お疲れモード
体育館から離れて廊下を歩く温泉津月妃。
体を動かしずらいのか、左右に揺れる様に動いていると、反対側から上田邑百がやって来る。
「見つけたんですか!?」
上田邑百がそう叫んで言うと、温泉津月妃は頷いて答える。
「面倒だけど、見つけた、これ使うと疲れるし、枯渇するからやりたくなかったけど」
「え、じゃあ、今日はもうしないって事ですか?」
上田邑百が、本日はもう討伐はしないのかと聞くと、温泉津月妃は頷く。
「元々、神力の消耗が多い方じゃ無いし、それに二十四時間、術儀で身を守ってるから、今は使えない、こんな状態で神霊と戦うのは無理」
「そ、そうですか、では、日を改める、と言う事で良いんですね?」
彼女の質問に、温泉津月妃は疲弊感を表した顔で頷いた。
「そういうこと…じゃあ、はい」
「え?あ、あの、はいと言われましても…」
両手を広げる温泉津月妃に、上田邑百は首を傾げる。
彼女のジェスチャーには一体、どういった意味があるのか、と不思議そうにしていた。
「疲れた、おんぶして、運んで」
「ええ?わた、私がですか?」
人差し指で、自らの顔を指差す上田邑百。
「当たり前でしょ、それに今日は家に泊めて、身の回りの世話もお願い」
本日の活動限界を迎えたらしく、これ以上は動けないので、上田邑百に丸投げする事にする。
「ちょ、え?い、よ、宜しいんですか?身の回りの世話なんてっ!」
彼女は若干の興奮を覚えていた。
全てを任せると言う事は、食事や、風呂も自分が行うのかと思った為だ。
「…だって疲れたし、動きたくない、察して」
「あ、は、はい…で、では失礼しますね」
上田邑百はまず、自らの後ろ髪に手を伸ばす。
彼女をおぶさると言う事は、この長い髪の毛が邪魔になる。
だから、上田邑百は、右と左に梳いて、分けた髪を前へと持っていく。
細くて長い鮮やかな髪がさらさらと動いては、髪の毛を纏めている。
前側に持ってきた後ろ髪を、予め持っていたゴムバンドで止めた所で、後ろに立つ彼女に背中を向ける。
「どうぞ、…ひ、ひゃあ!?」
後ろを向いた上田邑百に、温泉津月妃はゆっくりと手を伸ばすと、彼女の丸みを帯びた臀部に指を食い込ませていた。
「色々デカいと思ってたけど…尻が一番、大きい」
温泉津月妃も決して人の事を言えないグラマラスな肉体をしているが、上田邑百の肉体は彼女から見ても魅力的なものだったのだろう。
「あ、あの、セクハラは、セクハラは禁止ですっ!早く背中に乗って下さい!」
恥ずかしそうに、顔を赤らめては上田邑百が言う。
このまま弄び続けたら背中に乗せてはくれぬと思ったのか、温泉津月妃はこれ以上のボディランゲージは止めて、彼女の背中に体を預けた。
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