第六章・あぶった結果
「全校生徒の皆様にご連絡です、温泉津月妃様からお話があります、体育館までお集まりください」
その様な校内放送が行われた。
これによって、放送を聞いていた大多数の男性たちが立ち上がる。
「あの温泉津月妃が…ッ」
「なんだ、話って…まさか告白かッ!?」
「全校生徒を集める理由はなんだよ」
「あれだ、恋愛バラエティ番組みたいに競わせる奴だッ」
「趣味悪過ぎるだろ」
「お前はいかないのか?」
「行くに決まってんだろッ!!」
男子生徒たちが廊下を走り出す。
そのまま、体育館の中は大勢の学生や教師で集まっていた。
騒々しく、これから何をするのか話し合っている。
そんな時、温泉津月妃は体育館の二階から生徒たちを指でさしながら確認している。
「(有象無象、多くて気持ち悪い…おなじ建物の中で空気すら吸いたくない…さっさと終わらせよ)」
彼女は空間に向けて神力を放出させる。
体育館一帯を容易に包み込む事の出来る神力だ。
周囲一帯に神力を放出させると共に、温泉津月妃は自らの七曜冠印を使用した。
「(教理別身・月)」
月と日と言う七曜冠印の中では陰陽の位置につく力。
日は付加、対象に対してプラスとなる力を与える。
月は負荷、対象に対してマイナスに働く力を与える。
月と言う力は元来、対象者に対しての力の減少を表す。
力の消滅や、配合によって元の七曜冠印が劣化する為に、一部の人間からはあまり好ましく思われては居ない。
だが、この七曜冠印が特筆するマイナスの力。
これは、普通の人間に触れられれば、多少の気疲れや疲労と言うものが浮かび上がる。
神力を受ける事に対する感覚と言うものが、一般人には知覚出来ない行為である為に、それを受けた人間は特にリアクションをする事は無い。
だが、巫覡や、神霊と言った存在からは、神力を受けると言う感覚、それに加えて神力が減少していくと感じると、思わず体が反応してしまうのだ。
末路不和神霊にとって、憑いた人間は栄養源である。
その栄養源の低下は看過出来ない異常であり、必然的に動きとして出てしまう。
そうして、その体育館の中で、特別動きが活発であった三名を、温泉津月妃は認識した。
「あ、温泉津だッ!」
「あんな所に居たのかッ!」
「なんだ、これから何をするんだ!」
「付き合ってくれー!!」
男子生徒の声が響く。
それを聞いた温泉津月妃は鬱陶しそうな表情をしながら。
「もういい、終わり、さっさと帰って」
それだけ言って、温泉津月妃はその場から退去する。
勝手に集めておいて、勝手に終わらせられる、なんという暴挙であろうか。
しかし、そんな彼女だからこそ、心を惹かれるのだろう。
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