第六章・体育の時間に
面倒臭い事はしない。
傲岸不遜な彼女にはそれが正しい事であると信じている。
女子生徒たちが集う女子更衣室。
授業の体育の時間、彼女達は服を脱いで体操服に着替えていた。
そんな時、温泉津月妃は携帯電話を弄っている。
女子更衣室には来たが、着替える様子など一切見せない。
それもそうだろう。
体育と言う体を動かす事は面倒である事他ならない。
だが、教室に閉じこもれば、見たくも無い男子たちの着替えが待ち受ける。
視界に入れたくない、声すらかけたくない。
なので、温泉津月妃は女性陣と共に更衣室へとやって来ていたのだが。
「…」
温泉津月妃は何かを感じ取る。
女子生徒たちが着替え終わった時。
温泉津月妃を無視して女子更衣室から出ていった。
残された温泉津月妃は携帯電話を弄りながら、自らの影に視線を向けると。
「ここ、気持ち悪い」
その言葉と共に、温泉津月妃の影から龍の様な尻尾が出てくると共に、普段は使われていない故障中のロッカーに向けて攻撃する様に命令する。
尻尾が開かずのロッカーの扉に叩き付けられる。
すると、鉄製のロッカーの扉はひしゃげてしまい、蝶番が壊れてロッカーが開かれる。
そして、温泉津月妃はそのロッカーの中に入っているものを確認した。
普段は使用されていないロッカー、当然ながら何も入っていないのだろう。
だが、そのロッカーの中には、携帯電話が入れられていた。
そのロッカーの扉の内側には鏡が仕込まれている、どうやら、録画機能を使って盗撮をしている様子だった。
ロッカーの隙間から何か見えた為に怪しんだ温泉津月妃は汚物に触れる様に携帯電話を拾う。
そして、録画機能を停止すると共に、その携帯電話の持ち主を確認する。
放課後。
女子更衣室に携帯端末を回収しに来たのは、一人の教師だった。
個人的に楽しむ為に、自らの生徒を納めた動画で自らのものを慰めようとしたのだろう。
だが、女子更衣室には、携帯電話を持っている温泉津月妃が居た。
「え…あ?月妃」
教師は狼狽した。
破壊されたロッカーを見て、彼女の携帯電話を確認して。
回収されてしまった事を悟り、心臓が跳ね上がる。
「こういうの、本当に嫌い、気持ち悪いし気色悪い、だから…」
だから、と温泉津月妃は言った。
そして、携帯電話を投げる、それを受け取る教師。
「ここで今、祓ってあげる」
嫌悪感を浮かばせる視線を教師に向ける。
「ち、違う、これは私のでは…っ」
そう言い訳をしようとする教師に向けて温泉津月妃は神力を放出させた。
「言い訳?聞くワケないでしょ、男の言葉なんて」
神力が教師に向けて放たれる。
それを受けた教師は、体を仰け反らせて天井を上に向けた。
「心に隙間があるから、ソレに乗り移られる、自業自得、あんたは社会的に罰せられた方が良い」
すると。
教師の体から出てくるのは、細い肉体の、人型の生物だった。
「末路不和神霊、あんたは此処で、私が祓う」
それが、温泉津月妃の仕事だった。
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