第3話 逆プロポーズをしたらお父様が半泣きです

「陛下、陛下と王妃さまは幼い私に国のために王太子の婚約者に望むと仰いましたわ。私は8歳の頃から王太子妃、そして王妃となるために教育を受けて参りました」

 お父様もお母様も渋い顔をしていらっしゃいます。


 私と同じ年頃の公爵令嬢はいるものの、より血の濃い評価の高い子供が私だったのです。

「陛下は再婚を渋っていらっしゃるようですが国のためにと人に言えるならば、ご自身も国のために再婚をなさるべきです」

 陛下はとても困惑されている。

「・・・血統は第三位継承者で有るグランマニエ公爵に譲位で守られるだろう」


「私は裏で支える方が向いておりますので尻拭いの玉座はお断りします」

 宰相であるグランマニエ公爵に即座にお断りされています。

 陛下はバッサリ切り捨てられて途方に暮れた感じですわね。

 第四位であるお父様も第五位であるアウール公爵も引き受けないでしょう。名誉にも地位にも困っておりませんもの。


 王太子の廃嫡で順位はくり上がっていますが、まだ発表前ですしね。王位に興味が無ければ意味もないですし。


「と言うわけですので、私を陛下の後妻にしてくださいませ!」

「「「「「!?」」」」」

 みなさま素晴らしく面白い顔になっております。


 陛下は王妃さま一筋と言うよりは申し訳なさや憐憫の情を感じていらしたようですし、王太子以外の御子が生まれて後継問題に荒れることも避けたかったのだと思いますわ。

 なので少し良心が痛みますが、陛下の心に棘を刺す、責任を感じさせる言い方を選びました。


「いや、アルステリア・・・そんな後妻になどならなくても。パパと同じくらいの歳だぞ?」

 お父様はかなり動揺なさっていつもの冷静さが消えてますわ。あとパパだなんて10歳くらいまでしか呼んでませんから!

 他の公爵たちも呆然としております。みなさま親戚と言うよりは親族と言う濃いお付き合いなので自身の子供の様に大切にしてくれておりますのでお父様と同じ気持ちのよう。


 ですがせっかくいい感じに巡ってきたチャンスですもの!

 陛下もあり得ないことを聞いたとお口を開けていらっしゃいますが、攻めさせていただきます。


「私の初恋は5歳の時、うちの執事のクロードですの!二度目の恋は10歳で当時宰相補佐官でいらしたグランマニエ宰相閣下ですのよ」

 グランマニエ公爵は「え?」っと驚かれて夫人は「あらぁ可愛いこと」って笑ってくださいます。

 当時は夫人のことを恋敵だと思っていましたわ。もちろん意地悪など悪いことは致しておりません。


「い・いや、リア、パパは?パパは好みじゃないのかい?!と言うかクロードも宰相も50代だぞ!!当時はいくつだ」

 お父様はお父様なので範疇にありません!

 ですから、私渋好みですのよ!


 お母様もアムール公爵夫人もベールガイム公爵夫人も苦笑していらっしゃるので私の好みをご存知だったのでしょう。

 まぁ、今の状況は予想外だったでしょうが。


 当時は大人に憧れる淡い恋だったのだと思いますが、アホ王子を見て育ったせいで同年代は苦手ですし、王宮で年配の方達と過ごしている時間が長かったのですもの。

 やはり落ち着いた感じの年上の男性が良いのですわ。


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