第4話 王妃の座と陛下の妻の座はどちらも大事

 「アルステリア、少し時間をくれないか」

 と、陛下が先送りを希望されたので本日は解散です。

 宰相たちは王太子の廃嫡について書類を作成したり発表の準備をするのでしょう。

 騎士団総帥のお父様はとりあえず本日お休みだそうで。


 みなさまと移動しようとしていたら

「父上と再婚なんて頭がおかしいんじゃないか?お前何考えてる!そんなに王妃の座が欲しいか!」

 元王子が喚き出しました。

「アホ王子と結婚するより余程良いでしょう?歳の差婚なんて貴族では当たり前の事です。王妃の座が欲しいのじゃなくて今までしてきた努力を無駄にしたく無いんですの!」

 あら、今までで一番会話をしてますわ。


「私の教育にはたくさんの教育者の時間と税金が掛かっておりますの、王妃にならないと言うことはそれをドブに捨てると言う事ですわ。教育を放棄してきたどこぞのバカにはわからない事でしょうけど」

 私はお母様に譲られた扇子で口元を隠して嘲笑いましたわ。

「何より私の10年の努力が無駄になるのは許せないの。時間は返ってきませんもの。エレイン嬢、あなたが王太子妃になるとして私がしてきた10年分の教育をやれて?」


 エレイン嬢は顔面蒼白なままお顔をブンブン横に振ってます。

「王妃にならずとも私が受けた教育は私の人生で無駄ではないでしょう。でも私が普通の貴族令嬢として生きるはずだった時間は二度と戻らないのです」

 

「でもありがとう、エレイン嬢のおかげで嫌な結婚が避けられて好みの人を選ぶ機会を得ましたわ」

「ィ・イヤ・・・とかバカ・・・とか」

 自分にどんな評価を付けていたのかかなりコレが凹んでますわね。


 王子とエレイン嬢はとりあえず貴族牢に収監されるようです。王子予算をエレイン嬢に貢いでましたからの横領の罪もありますよね。卒業パーティに水を差しましたしね。


 さて帰宅したらお父様を宥めないと。

 兄妹たちもかしら?

 

 ほぼ希望通りに行けると思うけどどうかしら?


 同じ渋好みのクラムベリー侯爵令嬢やヘーゼル伯爵令嬢に伝えたら抜け駆けで叱られるかしら?


 ロナウド兄様がエスコートしてくれて、

「せめて俺たちくらいの年齢にして欲しかったぞ」

ってボヤかれました。お兄様は素敵だけど渋さはまだまだですもの。

 友人たちは渋くなるまで自分が育てるのもアリって言ってたけど私は渋い人をより渋くも良いと思うんですの!

 陛下はまだ渋さが足りないけど哀愁漂う感じで良いのです。


 子供の頃バカ王子は逃げまくってて、一人で勉強してたりすると陛下は様子を見にきてくださったりおやつをくださって。一緒に散歩したりもしました。

 単純かもしれませんが三度目は、13歳の時シルヴァン陛下に恋心を寄せたのです。

 もちろん叶わない恋だと理解していました。でもチャンスが巡ってきちゃったのですからチャレンジするのですわ。

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