第32話

ミナトから呼ばれて外に出てみれば寺の前で教団と寺の連中が言い争いをしていた。

「一体何様だ貴様?」

住職とおぼしき男が相手に対して詰問している。

「そう、興奮しないで下さい住職さん」物腰の柔らかそうな男が1人前に出る。

「権釈様の事は私も知っていますから」

「そうか、なら何しに来たんだね、いきなり」

「そうですね、私どもの教団の護符も一緒にお渡ししてもらいたくて権釈様の札と一緒に」

「意味がわからん。そもそも君達のはある種の神様達を軽蔑するものだろう」

「おや?知っているんですか?」

「有名な話だ。主神とされている光の方達をけなすと聞いておる」

「あぁ、なるほど。それでは、一緒に置いて貰えないと言うことですか」

「無理だな、わし等の権釈様は神様方を信じよとおっしゃられている」

「そうですか、残念。では、帰りましょう皆」

その後は何事もなく引き返して行った。

「なんだなんだ。すぐ帰って行ったな」

ミナトと宿に戻る。

「あれはきっと結界の事だよな」

「そう思います」

「麻木姉は一緒に行かなかったのか?」

ミナトの話だと途中食材を買うって別れたらしい。

ミナトとこっちの世界のオセロで遊びながら何が流行ってるとか。ゲームの進化について盛り上がり、そろそろ腹へったな。なんて会話をしているが一向に帰ってくる気配の無い麻木姉にミナトが心配だから探してくる。と言い始めてた頃。麻木姉が帰ってくる。

「大変、2人とも一緒に来て」

「なんだよ、どうした」

「町から出よう」

「なんだ急に」

「わかんないけどとりあえず信じて私を」

わかった。荷物は特にないのですぐに宿を出た。

「こっち音は静かに」

町の外側に怪しい集団がいた。何やら物々しいのは間違いない。それに寺の前で騒いでいた教団の男がいる。あいつ帰ったんじゃなかったのか?

「あいつ寺の前で話してやつだよな」

「そう思います」

「やっぱり2人とも居たのね、私は何だか気になってあの人達を追いかけてみたの、そしたらあの集団と合流してたから何かするんじゃって見張ってたの」

「それで遅かったのか」

「うん、おかしいでしょ。こんなところで何する気なんだろ」

何をするかもっと近づければ分かるかもだけど。

う~ん。仕方ない。光の妖精でも使って潜入させようかそう考えた矢先に連中が動き出した。

「あれ何か詠唱してる」

ごそごそと連中の後ろから檻の様なものが町の方に中心の寺の上に。

しばらくすると町から悲鳴が上がる。

あいつら何を。町に行くぞ。

「待って!ここで行っていいの?」

「行くしかないだろ」

麻木姉が言うのは分かる。まずは隠密行動で結界を壊しニコ達が動ける範囲を増やすのが計画だった。今行けばバレる可能性もある。それでも行くしかねぇ。俺は麻木姉を見る。

「わかった。行こう」

「行こう。翔兄ちゃん」

町に走りながら麻木姉が花魔法で偽装を施してくれる。

寺の前に着くと魔獣が暴れているがなんとか死者は見当たらない。

魔獣の背中にユグドラを叩き込めむ。魔獣達はあっさり倒れていく。最後の一体を倒すとミナトは水魔法で火の手を消し。麻木姉は怪我人に手当てをしている。

一段落ついたと思った時。大きな魔方陣が寺を覆うように張られその中からさっきよりデカイ魔獣が出てくる。

「あいつらまた召還しやがった」

「きっと魔獣を倒したのを気づいたんだよ」

仕方ない。こいつも片付けてやる。


次の日町の外で見張りをしていたが

教団はどうやら、引き返したようだ。

町に降りて見ると昨日の名残リがある。

寺は半壊だけど、まだ、形が残っている。

「水売ってる」

「買ってこようか」


町の外にテントを張って考えていた。

「ニコ、やっぱり王都目指そう」

「うん、急いだ方が言いかもしれない」

麻木姉とミナトもうなずいてくれた。

よし、王都に。

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