第29話

リアルから出発してたどり着いた場所は教団が居る王都から離れた小さな町バルム。ここはまだ教団が結界を敷いている区域では無いので選んだ。

「翔、そっちはどうかな無事?」

「無事だよ」

ニコはいつでも通信出来るように俺に

色々事前に渡してきていた。

「ハルと湊も無事かな?」

「大丈夫です。ニコ様」

「大丈夫だよ、ニコ」

さてと、出発したものの、何処に向かうかだが。

「僕が地図持ってます、案内は任せて下さい」

湊は優秀だが始めて来た異世界いきなり案内は難しくないか。

「大丈夫ですよ。実は僕やハル姉ちゃんは何度かこの辺に来たことあるんです」

ヘェ、なるほどね。あんの妖精。

「解った、ナビは頼む」

「そうだ。今のうちに自分達の持物とか色々出来る事を再確認しとこうぜ」


俺はユグドラ(木刀)何々?説明書。あとで見る。通信機。キャンプ用品それと、昼ご飯。

あんれ~?俺持ち物少な。

ミナトは地図。杖。魔道書。キャンプ用品。お昼ご飯。それとお金。

麻木姉。杖。料理器具。魔道書。魔法瓶。にお昼ご飯。それとお金。

うん。お金。なんで持ってんの?

あれ、ニコ?俺にはないのかな?不思議だね。

「ニコ?俺お金貰ってないよな」

「えっ?お金ならハルに渡したよ、旅の資金だからね。しっかり管理してもらわないと」

おかしい。ならば湊は?まぁいいか。

よし、俺の出来る事は剣術。光の眷属の技。簡単な火の操作。火自体はかなり大きなものが出せるけど扱いは難しい。あとは簡単な魔法なら相手からのも留めて逆に拡散出来る。あとは母さんの守りの力かな。

湊は火水風雷闇光等の初級が出来る。更に地の力なら岩を隆起させる。岩を飛ばす等。

麻木姉は花魔法。此はファナリスの眷属で使える物らしい。大地の花を活性化させ幻影を魅せる。植物で相手の魔法から身を守る。眠らせる。治癒魔法は手が取れてもくっつけれるぐらいにはすぐに治癒出来るそうだ。

一通り、お互いの出来る事を再確認して道を進む事にする。


「なぁ、ミナトって妖精の眷属じゃないのか?」

「はい。ファナリス様の眷属は姉だけで僕はガイア様の眷属なんです」

「ガイア様?」

「はい、会った事無いですか?」

「無いなー、リアルに居たのか?」

「居ましたよ。ファナリス様の友達で、あーでも、うん。彼女は難しいかもしれないですね。人見知りなんですよ」


最初に来た町バルムは小さいが寂れてる訳でもなく建物もしっかりして地面にはレンガが敷かれていた。いい場所だな。

「まずは結界がないか調べよう」


「無いな」

三人で町のあちこちに行ってみたが特に変わったものもなかったので、昼ご飯を近くの公園で食べて次の町に向かう事にした。


バルムからそうほど遠くない場所に次の街もあった。もちろん普通の人が移動するには何時間と掛かるだろうが俺達には何の事はない。辛い修行や使える魔法でとにかく早く移動できる。

街中では使えないが人気の無い街道なら使い放題と変わらない。

さて「この街の結界探しだ、あと何か怪しい話。教団連中のな」

さっそく分散して探す。小さいとはいえ、バルムでもそうだったが街の何処にあるかはわからないから注意深く探す。路地裏、人気の無い小路も。

とりあえず俺の見たところでは何も無かった。ミナトと麻木姉の方は何か見つかったかもしれないので待ち合わせの酒場に入る。

「いらっしゃ~い」

「こんちはー、人と待ち合わせてるんだが」

「翔さんこっちです」

ミナト達が呼んでる席に着く。

「何か見つかった?」

「ううん、こっちには何もなかった」

「僕の方も特にそういったモノは無かったですね」

「案外結界自体少ないのか?ニコに聞いてみるか」

「でも、1つ耳にしたんですがご利益のある札がここから東の街に売られているって話を聞きました」

「もしかして街の外側に置く結界じゃなく宗教的な有難い札扱い?それなら外にあるんじゃなく家の中に飾るモノだとしたら余計面倒だな」

「どうしようか?一軒一軒催眠術であるかどうかわからない札を見つけるのなら時間がすごく掛かるよ」

「うーん、もう少し調べてみるか」


休憩中に酒場の人間に最近有難い札や石や警備に使われる結界になりそうなモノを聞いた。

「そういったモノは知らないですね~、まぁ畑に魔獣避けのモノは何個かありますが」

「アレだろ?あの山向こうのガドラのお札。幸運になるそうじゃないか?だけど庶民にはとてもじゃないが買えないよ」

「高いものなのか?」

「そう聞いてるよ。何せ特注の品だって」

教団連中は結界を張りたいハズ。だけど庶民には手が出せない。

「結界じゃ無いんでしょうか?」

「わからない」

とりあえずニコに連絡してみるか。


街外れ。

ニコ?聞こえるか?

「聞こえるよ、お札か~。正体自体まだあまり解ってないから、う~ん」

「この街は来れるのか?」

「うん、来れるね」

っとと、いきなり現れるなよ。ビビるだろう❗️見ろ2人がびっくりしてるぞ。

「ごめんね、でも来れるって事は此処にはまだ結界は無いと思って良いよ」

「なら、俺達は真偽の為にその東にある街に行ってみるよ」

「気をつけて」


さっさとニコは帰らし、出発する。

次の目的地は東の街ガドラ。

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