第28話

「はぁー」

昨日は長い日だった。フツウ次の日から旅だっていうのに絡んでくる爺さんが居るかよ。しかもナズナ婆ちゃんは

「寂しいのよ、許してやって」しか言わねーし。婆ちゃんも酒苦手なんだな。皆起きてるのかね~。

「おっ、いい匂いがする」

「あっ、おはよう翔、朝ごはん出来てるよ」ルンルン🎵で挨拶してくれる。

「やばい、ニコ、結婚してくれ」

「いい、今日から旅なんだよ」

「わかってるよ」ちゃんとしなさい的な仕草。

「そう、ならよし、早く食べよ」

解るか?この早く食べよに♥️がついてみろ。ダウンするわ。

全く、何故これで男の子なんだ。どう見ても新婚だろ。この状況。男の子じゃなければ、クッ、俺は男の娘は無理なんだ。それに男の娘でもないんだよ。ニコはさ。

「アンタ、さっさと席に着きなさいよ。ぶつかったじゃない」不機嫌な花妖精が俺の後ろで顔をぐしぐしとかいている。

「そうそう、アンタの旅に2人着いてくから」

「聞いて無い」

「言ってない」

ガルルル、がー。お互いに竜虎相対する。

「これでいいかなーニコさん」

麻木ハルが料理を皿に乗せて持って来る。

「ありがとう、ハル」

「良いよ、ニコの料理をお皿についだだけなんだし」

「そんな事無いよ、ほら見て翔。すごい美味しそうに盛れてる。こういう所ってその人のセンスが出るからね」

「まぁ、それはわかる」俺はというと皿がテーブルに運ばれて来た端から食べていた。旨い。

「食べる事に夢中なあんたにそんな感性あるの?」

「失礼な、あるわ」

テーブルに麻木姉弟も座りみんなで豪勢な朝飯を食べる。


出発前に一応の準備が整う。

「あっと、コレコレ、翔専用の装備、世界樹ユグドラシルの枝から作った剣。通称はユグドラだよ」

「名付けが最悪だな」

「うるさいなぁ、分かりやすくて良いでしょ」

「これ、木刀じゃね?」

「そうだよ、だって樹から作ったんだから。切れるよ。スパスパだよ」

「ほんとかよ、まぁ貰っておくわ」

「説明書は鞄に入ってるからよく読んでね、あと、忘れ物無い?」

「無いよ、それに戻ろうと思えばニコが戻せるんだろ、必要なものがあればそれでも良いし送ってくれてもいい」

「何言ってるの?教団にだって強い戦士とかいるはず、油断は禁物」

このままだといつまで経っても出発出来ない。

「そろそろ、いいか?」

「わ、わかった。じゃあ一つこれが最後、このまま普通の旅にも出来るんだよ」

「はぁ、言うと思った。」

ニコが微妙にムスッとした顔をするけど(って言うかなんでムスッとなる?)

「俺は普通の旅はごめんだ」

「わかったよ。諦めが悪くてごめん」


「じゃ、粛正しよっか」


俺と麻木姉弟はリアルから光につつまれ出発した。

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