第27話
ここに来てどれだけ時間が経ったのか部屋の中で脂汗を流して立ち尽くしていた。自分は幹部候補で今回は久しぶりに教団の団長に任務の成果を報告する日だった。
団長が俺一人の為来る訳ではなく報告に来る大勢の中の一人なだけだが光栄な事である為、俺はこの部屋に入るまでは気分が良かった。正直奴が居るとは思って無かった。
部屋に集められた幹部候補が全員入った時点で圧迫感に襲われ、身動き出来ない状況にされた。
「おいおい!君らさぁ?やる気あんの?」
第一声が耳に入った時、部屋を見渡せる位置で彼奴が嘲りの目で俺達を見ていたのに全員が気付いた。
「召集人数少ない!集めた結晶はこれだけ!団長がこれで赦してくれるからってさ、俺は嫌だな~!」
そこからゆっくり階段を降りて来る。
コイツの笑顔は実に意地の悪い表情で自分が圧倒的強者で有ることをその場の全員に自覚させようとしてくる。
確かにこいつは強いのかもしれない。だが俺達はコイツを仲間とは認めていない。コイツは味方ではない。
「戦争がさ、始まろうとしてるんだ、もっと教団員が必要だろ?時間無いよな?」
「時間無いんだよ、やめてくれる?」
誰かが部屋に入って来た。
一人何事もないかのようにスタスタ通り抜けて行く。
「幹部候補達が指定の場所に居ないって大騒ぎ、お前の仕業?メトロ?」
「誰だ?オマエ」
「誰?話す必要無いでしょ、僕の事なんて、特にお前にはね」
メトロが猛獣が牙を突き立てる様に飛びかかろうとした。
しかし、彼の影の中から竜の様なものが出てメトロを食い破った。
メトロが何かをいう暇さえ無い程に速く飲み込まれて行く。
「君達、まだ動けない?」
「動ける、動けるぞ」
周りがその事実に気付いて口々に言っているうちに彼は部屋から出ていってしまう。
「あの人は一体誰だったんだ」
「団長
のご子息とかっていわれている人かもな」
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